本ページでは、2018年5月モデルのCB250Rに搭載された6速マニュアルトランスミッションの歯車比、減速比、駆動力、エンジンの回転数と最高速度との関係についてのシミュレーションを行っております。
CB250Rの最高速は?ギヤ比と最高速度の関係を解説
MC52型CB250Rのトランスミッションには、ギヤ比3.291のロングレシオ設定の6速MTが搭載されており、燃費や高速走行時の低回転を意識した設計です。1速はギヤ比3.416で、最高速は42.1km/hですが、6速においてはギヤ比1.038で最高速138.6km/hへと速度が増加していきます。ギヤ間の速度増加を4段階に分けることで実現しています。
ギヤ比一覧表には、各ギヤ比に基本減速比2.807と第二減速比2.571を乗じた総減速比数値が記載されています。また、「シフトアップ回転数」とは、例えば1速で9000rpmまで回転させた後に2速に変速すると、ステップ比0.659を考慮すると5930rpmまで低下することを示します。
ステップ比が大きすぎると変速後の回転数が大きく減少し、加速に影響を与えます。回転数を9000rpmを超えるほうが加速感は良くなりますし、逆に小さい場合は早い段階でシフトアップすることが望ましい結果を生むかもしれません。
最高出力が得られる9000rpm時、ギヤ比1.038の6速での速度は138.6km/h、時速100kmでの回転数は6490rpmとなります。速度規制を守りながら高速道路を時速100kmで走るのであれば、このギヤ比で問題なく走行できます。しかし、長距離を走る場合は回転数の高さが気になる点です。また、時速100kmを半分少し上回る回転数で達成できるため、高速道路で「もう一段上のギヤがあれば…」と感じることもあるでしょう。
250cc以下の100km/h走行時の低回転数バイクランキング
高速走行時の回転数を低減させるには、タイヤの外径を大きくする、フロントスプロケットの歯数を14から増やす、あるいはリヤスプロケットの歯数を36より減らす方法があるのです。
回転上限と最高速度|9000rpmを超える速力
- 250cc以下の車両の最高速度ランキング
最高速度には、総出力に加えてギア比やタイヤの直径、エンジン回転数が影響します。エンジンが回転する限界であるレブリミットは、そのエンジンの特性や管理方法によって大きく異なります。そこで単純化のため、最大出力を発揮する9000rpmを基準に、10%増の9900rpm、20%増の10800rpm、30%増の11700rpmまで引き上げた場合に予想される速度を表にしてみました。なお、8000rpmは最大トルクを得られる回転数です。
通常、エンジンのレブリミットは最大出力の9000rpmよりも若干高めに設定されるものの、9000rpmを超えると出力は下降傾向にあり、それ以上での加速能力は不透明です。実際の最高速度は、走行抵抗と出力が均衡を保つ時の速度が目安となります。
表中のオレンジ色の部分は、それぞれのエンジン回転数で見られる平均のピストン速度を示しています。この速度は回転数の上限に影響を与える要因の一つです。9000rpmでは秒速16.50メートルから始まり、11700rpmでは秒速21.4メートルとなります。
各速度での各ギヤのエンジン回転数
乗用車の1速から6速までのギヤを用いて、通常の巡航時における車速に応じたエンジンの回転数を解説します。
6速ギヤを例に取ると、時速40キロメートルでは約2600回転/分(rpm)、時速60キロメートルでは約3900rpmとなります。高速道路で一般的な時速80キロメートルでは約5200rpmに達し、時速100キロメートルでは約6490rpmを示します。速度制限が時速120キロメートルの箇所では、エンジンは約7790rpmまで回転数を上げることが必要となります。
非常に速い車両においては、スピードリミッターが作動する時速180キロメートルでのエンジン回転数は約11690rpmになり、車種によっては時速300キロメートルを走行する際には約19480rpmもの大回転数が求められます。ただし、エンジンの出力やギヤの比率にも左右されるため、これらの速度に到達可能な自動車は限られています。
8000rpmと9000rpmの駆動力およびトルクウェイトレシオ
250cc以下の発進加速性能ランキングで、エンジンが発揮する最大トルク2.3kgmは、ギヤを用いて減速され、ものすごい勢いで膨らみ、最終的には元の数十倍、数百倍にまで増幅されます。
例えば、1速ギヤだと、エンジン軸のトルク2.3kgmが1速ギヤを介して3.416倍に増え、更に一次減速比、二次減速比で7.217倍になります。この結果をタイヤの半径で割ると、最終的な駆動力は185.3kgmにも達するのです。
9000rpmでのエンジン出力は27PSであり、この時の軸トルクは2.1kgmです。同様の計算により、最終的な駆動力は169.2kgmになります。
通常、この駆動力の数値が大きいほど、バイクが地面を押し進もうとする力は強くなります。8000rpmと9000rpmの差が小さい程、高回転域でのトルク減少が少ないといえ、加速感が維持されることを意味します。
【トルクウェイトレシオ】は、最大トルク(2.3kgm/8000rpm)時の各ギヤの駆動力を車両重量142kgで割った値で、最小で1速ギヤが0.77kg/kgmとなっています。
0.77kg/kgmはバイクにおける平均的な値ですが、抜群の発進ダッシュが可能なポテンシャルを秘めています。
自動車関連サイトでまとめた1速ギヤTWR(トルクウェイトレシオ)平均は1.60kg/kgmで、少なくとも1速ギヤが最高速度に達するまでは自動車では敵わない性能を持っていると考えられます。
前後スプロケットと加速力および最高速の熱烈な関係
現実の制約を無視し、前後スプロケットの歯数の変更が車両の性能に及ぼす影響について考察します。具体的には、特定の速度域におけるエンジン回転数の変動、最適なギア比での9000rpm時の速度、さらに1速時の最大推進力の変化を見ていきましょう。
フロントスプロケットの変更について
MC52型のCB250Rにおいて、フロントスプロケット(別名:ドライブスプロケット)の変更を試みました。標準装備されているのは14丁のスプロケットですが、11丁から17丁まで変えてその影響を観察しました。
元々14丁のスプロケットを用いた状態では、時速100km走行時のエンジン回転数は6490rpm、9000rpm時の速度は約138.6km/h、そして最大駆動力は185.3kgmとなっています。
スプロケットを11丁に減らした場合、ギア比が下がり、回転数は8270rpmに増加し、最高速度は108.9km/hに低下しますが、最大駆動力は235.9kgmまで上昇し、加速力が向上します。
逆にスプロケットを17丁に増やすと、ギア比が高くなり、回転数は5350rpmに低下し、最高速度は168.2km/hまで上昇しますが、最大駆動力は152.6kgmに低下し、加速力は減少します。
ギア比を上げることで巡航回転数が下がり、最高速が上昇し、燃費向上が見込める点は魅力的です。しかし、エンジンの特性や出力に合わない過度に高いギア比に設定してしまうと、特に停止状態からの発進時などに非常に動きが鈍くなるリスクがあることに注意が必要です。
リアスプロケットの変更効果
バイクのリアスプロケット、すなわちドリブンスプロケットの歯数を変更することを考えてみましょう。例えば、純正が36丁である場合、その歯数を減らすとギア比が高くなり、最高速が向上しますが、逆に歯数を増やすとギア比が低くなり、加速力が向上します。フロントスプロケットと異なり、リアスプロケットは歯数が多いため変更の影響は比較的小さく、大きく感じるほどではありません。
スプロケットの選択においては、フロント側で大まかな加速か最高速かの方向性を決めた後、リア側で微調整を行うことが一般的です。また、フロントを14丁のままにしてリアのみで調整することも可能です。スプロケットを選ぶ際は、その可能性にワクワクすることでしょう。
ただし、歯数変更によりスピードメーターに誤差が生じる場合があることに注意が必要です。特に車種によってはその影響が大きいため、無謀な改造はスピード違反の原因や事故に繋がるリスクがあることに留意してください。