本ページでは、NC750X [DCT 2021/01]に採用されている6ATの伝達比(ギア比・減速比)と駆動力、さらにエンジン回転数と最高速度との相関についてシミュレーションを行っています。
NC750X DCTの最高速は?ギア比と加速性能の関係
RH09型NC750Xのトランスミッションは、燃費と最高速、さらにエンジン回転数の低さを優先に考えたロングレシオ型であるレシオカバレッジ3.271の6ATが搭載されています。速度の観点から考察すると、2.666の1速の最高速度は64.3km/hに対し、0.815の6速は最高速度210.3km/hに到達し、この間の速度差は146.0km/hになり、4つのギアを使用して徐々にスピードを増していきます。
ギア比を示す表の下部にある括弧内の数字は、各ギアの比率に第一次減速比1.921と第二次減速比2.411を乗算した合計の減速比を表示しています。
また、「シフトアップ時の回転数」とは、1速の6750rpmからシフトアップすると、1速と2速のステップ比0.714を考慮すると回転数が6750rpmから4820rpmに低下することを意味します。ステップ比が大きすぎるとシフトアップ後に回転数が大幅に下がり、それによってパワーバンドから大きく外れてしまう場合は、6750rpm以上で回転させた方が加速感が向上する可能性があります。逆の場合は、早めのシフトアップが良い結果をもたらすことも考えられます。
最大出力を発揮する6750rpmで、最高の6速ギア比0.815の状態における速度は210.3km/hで、時速100kmのときのエンジン回転数は3210rpmです。最高速を重視する観点からは、一般的にはこのような高速は必要ないものの、巡航時の低回転を維持する利点もあります。
感情に流されず、冷静さを保ちながら成熟した余裕を見せることが大人の振る舞いでしょう。
最高出力が得られる回転数の半分少し下で時速100kmを達成できるため、適度な回転数でストレスを感じることなく快適な高速クルージングが楽しめます。
750cc以下で時速100kmの回転数が低いバイクランキング
巡航時の回転数を効果的に低くする方法として、タイヤの外径を大きくする、フロントスプロケットの歯数を17以上に増やす、またはリアスプロケットの歯数を41より減らすといった手段があります。
レブリミットと最高速度 | 6750rpmを超える速度の可能性
最高速度の決定要素として、最大出力が非常に重要です。しかし、それだけではなく、ギヤ比やタイヤの直径、さらにエンジンの回転数も無視できません。エンジンのレブリミット(回転限界)はさまざまな要因によって異なり、一概に決めることはできません。ここでは便宜上、最高出力が得られる回転数である6750rpmを基点とし、10%増の7400rpm、20%増の8100rpm、30%増の8800rpmまでエンジンが回転した場合の速度を一覧表にまとめてみました(4750rpmは最大トルク発生時の回転数です)。
ちなみに、エンジンのレブリミットは最高出力が発生する6750rpmよりも少し高い回転数に設定されています。しかし、出力は6750rpmを境に下降し始めるため、それ以上で効率的に加速するかどうかは定かではありません。実際の最高速は、走行の抵抗とエンジンの出力が均衡を保つ点での速度になります。
表のオレンジ色で示された欄には、各回転数における平均ピストン速度が記載されています。このピストン速度は、エンジンの回転数限界を決定づける要素の一つであり、6750rpmの際の18.00m/sから、回転数が増すにつれて速くなり、8800rpmでは23.5m/sに達します。
一般的な走行速度でのエンジン回転数
各ギア位置における一般的な走行速度でのエンジンの回転数について見ていきましょう。1速から6速までのギアに分けて、各速度に適応する回転数を探ります。
例えば6速ギアの場合、速度40キロメートル毎時ではエンジン回転数は1280回転毎分、60キロメートル毎時で1930回転毎分となります。高速道路で一般的な速度とされる80キロメートル毎時では2570回転毎分、100キロメートル毎時では3210回転毎分、速度規制が120キロメートル毎時の道路では3850回転毎分と上昇します。
また、エンジンの出力と回転数、ギア比が密接な関係にあるため、全ての車種でこれらの速度に到達することはできませんが、スピードリミッターが作動する速度180キロメートル毎時では5780回転毎分、更に限られた車種での速度300キロメートル毎時では9630回転毎分に達することがあります。
4750rpmと6750rpmにおける駆動力とトルクウェイトレシオ
- 750cc以下のエンジンでの発進加速性能を競うランキングです。エンジンが生み出す最大トルク7.0kgmは、ギヤを通じて減速され、最終的には元の数十倍や数百倍に増幅されます。
- 例えば、1速ギヤでエンジンの軸トルク7.0kgmが2.666倍になり、更に一次減速比と二次減速比で4.632倍に拡大し、タイヤの半径で割ることにより、最終的な駆動力は277.0kgmに達します。
- このエンジンは6750rpmにおいて58PSを生み出し、この時点での軸トルク6.2kgmが同じ方法で計算されると、最終的な駆動力は245.4kgmとなります。
- 基本的にはこの数値が大きければ大きいほど地面を強く押す力があり、4750rpmと6750rpmの差が小さいと高回転域におけるトルクの減少が少なく、加速感が維持されると言えます。
- 内に記載された数値は、最大トルク発生時(7.0kgm/4750rpm)に各ギヤによる駆動力を車両重量224kgで割ったトルクウェイトレシオで、最も小さい1速ギヤでは0.81kg/kgmとなっています。
- この0.81kg/kgmという数値は、信号スタートでの加速力が非常に高く、乗ることに深い愛情を感じさせるでしょう。実際、「このバイクに乗ってよかった」と感じる瞬間に違いありません。
- 自動車情報サイトでの集計によると、1速ギヤTWRの平均値は1.60kg/kgmですので、最低でも1速ギヤの吹け上げるまでは、通常の自動車では敵わないと考えられます。
前後スプロケットと加速力および最高速の熱烈な関係
ここでは、部品の有無や取り付け可能性を一旦忘れ、前後スプロケットの歯数変更が及ぼす影響を探ります。具体的には、時速100kmでのエンジン回転数の変化、最も高いギア比での6750rpmにおける速度、そして1速ギア時の最大駆動力の変動を見ていきましょう。
フロントスプロケット(ドライブスプロケット)の変更効果
RH09型のNC750Xに搭載されているフロントスプロケットとは、通常17枚の歯を持つ部品ですが、この歯数を14枚から20枚に変動させてみた結果をご紹介します。
元々の17枚の状態では、速度100キロメートル毎時におけるエンジン回転数は3210rpmであり、最高速度は6750rpmで210.3キロメートル毎時、最大駆動力が277.0kgmと計算されます。
歯数を14枚に減らすことにより、ギア比が低くなります。これにより、エンジン回転数は3900rpmへ上がり、速度は173.1キロメートル毎時へと下がりますが、最大駆動力は336.6kgmへと増加します。これは、最高速を犠牲にして、加速力を向上させる結果をもたらします。
反対に、歯数を20枚に増やした場合は、ギア比が高くなるため、エンジン回転数は2730rpmへと低下し、速度は247.4キロメートル毎時へと上昇、最大駆動力は235.6kgmへと低下します。こうなると、最高速度を重視する一方で、加速力を犠牲にする傾向にあります。
歯数を増やすと巡航時の回転数が低下し、最高速が向上するうえ、燃費も改善する可能性があります。しかし、エンジン特性や出力に無理なギア比を設定してしまうと、発進時に顕著な遅さが出ることがあり、極端に力強さを失う恐れがある点は注意が必要です。
リアスプロケット(ドリブンスプロケット)の変更と影響
次に、リアスプロケットの歯数を純正の41丁から変更するケースを考察します。
リアスプロケットの歯数を減らすと、ギア比が高まり最高速度が向上します。逆に、歯数を増やすとギア比が低下し、加速力が増す傾向にあります。
ただし、リアスプロケットは元々の歯数が多いため、フロントスプロケットの変更と異なり、わずかに歯数を調節した程度では劇的な変化は見込めません。
フロントスプロケットを16丁に設定して加速を重視するか、18丁に設定して最高速度を重視するかで大枠の方向性を決定し、リアスプロケットの増減で細かな調整を行ったり、フロントスプロケットを17丁のままにしてリアの調整で特性を変えたりすると、スプロケット選定はさらに楽しくなり、希望に満ち溢れます。
※スプロケットの歯数変更により、車種によってスピードメーターの誤差が生じることがあります。誤差が大きくなると車検に通らず、最高速度向上を目指したスプロケット交換の場合は、無意識のスピードオーバーによる違反切符を切られるリスクもあるため注意が必要です。