400ccバイクと聞くと、「中間クラス」「ほどほどの速さ」と思われがちですが、それはもう過去の話です。
最新のカワサキ Ninja ZX-4RRは、ラムエア加圧時に80PS、最高速度240km/h超という驚異的な数値を叩き出し、400ccの常識を完全に覆しました。
本記事では、2025年時点での400ccバイク最速ランキングを、実測データ・性能比較・試乗レビューを交えて徹底分析。
「数字上の速さ」だけでなく、「乗って感じる速さ」や「操る楽しさ」にも注目し、あなたにとっての“真の最速バイク”を見つける手助けをします。
ZX-4RR、CBR400R、Z400、そして伝説のVFR400Rまで──400ccクラスの頂点を決める決定版ガイドです。
400ccバイクで「最速」とは何を意味するのか?

「400ccバイクの最速」は、単に最高速度だけで語れるものではありません。
最高速、加速、出力――どの観点から見ても“速さ”の定義が微妙に異なります。
ここでは、バイク雑誌やJARI実測データなどをもとに、400ccクラスにおける「真の速さ」を構成する3つの要素を整理していきます。
最高速・加速・出力――”速さ”の基準を正しく理解しよう
バイクの「速さ」は単純な数字では比較できません。
最高速度(Top Speed)は理論上の最大到達速度を指しますが、実際の走行ではパワーウェイトレシオ(重量÷出力)や空力性能の影響が大きくなります。
たとえば、カワサキZX-4RRは77PS(ラムエア加圧時80PS)を発生し、同クラスでは異例の性能を誇ります。
一方、CBR400Rは46PS、GSR400は61PSと控えめながら、エンジン特性や車重の違いにより「速さの感じ方」が大きく変わります。
| モデル | 最高出力 | 装備重量 | パワーウェイトレシオ |
|---|---|---|---|
| カワサキ ZX-4RR | 77PS(ラムエア時80PS) | 189kg | 2.45kg/PS |
| ホンダ CBR400R | 46PS | 192kg | 4.17kg/PS |
| スズキ GSR400 | 61PS | 215kg | 3.52kg/PS |
この表からもわかるように、ZX-4RRのパワーウェイトレシオは400ccの中で圧倒的です。
つまり、同じ400ccでも「どれだけ軽く、どれだけ効率的にパワーを出せるか」が“最速”を決定づける要因になります。
カタログ値と実測値、どちらを信じるべき?
メーカーが発表するカタログ値と、実際に走行して得られる実測値には差があります。
たとえば、ZX-4RRはベンチテストでは253km/hという数値を記録していますが、実際のJARI高速周回路では表ストレート240km/h、裏ストレート245km/hという実測結果が得られています。
これは空気抵抗やタイヤの転がり抵抗、気温、ライダー姿勢などの影響によるもので、現実的な条件下での「本当の速さ」を示しています。
| モデル | カタログ最高速 | 実測最高速(平均) | 備考 |
|---|---|---|---|
| カワサキ ZX-4RR | 253km/h(ベンチ) | 240〜245km/h | JARI計測値 |
| ホンダ CBR400R | 190km/h | 180〜185km/h | 実走レビュー平均 |
| スズキ GSR400 | 203km/h | 未公表 | 理論値のみ |
実測値の方が現実的であり、信頼性が高いと覚えておくとよいでしょう。
数字そのものよりも、「どんな条件で計測されたか」を確認することが重要です。
公道とサーキットでは「速い」の定義がまったく違う
公道とサーキットでは求められる「速さ」の性質が異なります。
公道では、法定速度内でのレスポンスや扱いやすさが評価される一方で、サーキットでは絶対的なスピードと加速の持続性が求められます。
ZX-4RRは、その両方を両立する稀有な存在です。
「1速で89km/hまで到達する」という驚異的なギア比を持ちながら、街乗りでは扱いやすいポジションを維持しています。
速いだけでなく、速さをコントロールできる──これこそが、ZX-4RRが“真の最速”と呼ばれる理由です。
【2025年最新】400ccバイク最速ランキングTOP5【実測データ付き】
ここでは、2025年時点で入手できる400ccバイクの実測速度データをもとに、「真の最速」を決定します。
単なるカタログスペックではなく、実際の走行テストで確認された結果を基準にしています。
順位は「最高速度」「出力」「パワーウェイトレシオ」「加速性能」の総合評価に基づきます。
第1位 カワサキ Ninja ZX-4RR ― 400ccの常識を超えた化け物
カワサキZX-4RRは、2025年時点で400ccクラス最強のスーパースポーツです。
ラムエア加圧時に最大80PSを発生し、その出力はかつての750ccクラスに匹敵します。
1速で89km/hという驚異的なギア比を持ちながら、街乗りも十分に可能なバランスを実現しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 最高出力 | 77PS/14,500rpm(ラムエア加圧時80PS) |
| 車重 | 189kg(装備重量) |
| 実測最高速度 | 240〜245km/h(JARI計測値) |
| パワーウェイトレシオ | 2.45kg/PS |
ベンチテストでは253km/hを記録。
この数値は、空力抵抗のある実走環境を考慮しても圧倒的です。
まさに“リッターバイクを脅かす400cc”と呼ぶにふさわしい存在です。
第2位 ホンダ CBR400R ― バランス型万能スピードスター
ホンダCBR400Rは、400ccクラスで最も扱いやすい万能バイクの一つです。
高回転型ではなく、低中速域のトルクを重視したセッティングにより、公道でもストレスなく楽しめます。
数字上はZX-4RRに劣るものの、日常で“速さ”を感じやすい設計が魅力です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 最高出力 | 46PS/9,000rpm |
| 車重 | 192kg |
| 実測最高速度 | 180〜190km/h |
| 0–100km/h加速 | 約5.5〜6.0秒 |
空力に優れたフルカウル設計により、高速巡航でも疲れにくいのが特徴です。
ツーリング派にとっては「実用最速」とも言える完成度を誇ります。
第3位 スズキ GSR400 ― パワー最強のネイキッド代表
GSR400は、2000年代後半に登場した伝説のネイキッドモデル。
61PSの高出力を誇り、自主規制を突破した初の400ccとして今も語り継がれています。
高回転域での伸びが鋭く、スロットルを開けるたびに高揚感を味わえる官能的なエンジンフィールが魅力です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 最高出力 | 61PS/12,000rpm |
| 車重 | 215kg |
| 理論最高速度 | 203km/h |
| パワーウェイトレシオ | 3.52kg/PS |
実測データは少ないものの、数値上はZX-4RRに次ぐ加速性能を持ちます。
中古市場で再評価が進む“幻の最速ネイキッド”です。
第4位 ホンダ VFR400R ― 今なお語り継がれるV4伝説
VFR400R(NC30)は、1989年登場の伝説的レーサーレプリカ。
V型4気筒エンジンによる独特のサウンドと、プロアームによる美しいシルエットが多くのファンを魅了します。
理論上の最高速は202km/h、乾燥重量164kgと当時の技術力の高さを感じさせます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 最高出力 | 59PS/12,500rpm |
| 乾燥重量 | 164kg |
| 理論最高速度 | 202km/h |
| パワーウェイトレシオ | 2.78kg/PS |
「1速で100km/h到達」という驚異的な特性は今も語り草です。
V4サウンドを求めるなら、唯一無二の存在です。
第5位 カワサキ Z400 ― 実用性と速さのベストバランス
Z400は、Ninja400の兄弟車にあたるネイキッドモデルです。
48PSの出力と167kgの軽量ボディにより、クラス随一の軽快感を実現しています。
街乗りからツーリングまで万能にこなせるモデルとして高い人気を誇ります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 最高出力 | 48PS/10,000rpm |
| 装備重量 | 167kg |
| 理論最高速度 | 171km/h |
| パワーウェイトレシオ | 3.48kg/PS |
コストパフォーマンスも抜群で、「60万円台で最速級の加速」が手に入ります。
軽さ×実用性=速さを体現する、現代のベーシック最速マシンです。
ZX-4RRの「ローギア1速89km/h」は本当か?実測レビューで徹底検証
カワサキNinja ZX-4RRの試乗レポートで話題となった「1速で89km/h」という衝撃の数字。
この記録は一部のライダーから「誇張では?」と疑問視されましたが、実際の検証データを見ると、驚くべきことにほぼ事実であることがわかります。
ここでは、高速道路実験・JARI試験データ・ライダーインプレッションの3方向からその真相を掘り下げます。
1速で高速道路!? 高回転4気筒エンジンの秘密
ZX-4RRが「1速で89km/h」に到達できる理由は、その極めて高回転型のエンジン特性にあります。
14,500rpmという異常なまでの高回転域を許容し、ラムエア加圧で80PSを発生させる構造は、400ccではほぼ唯一。
この設計思想は、リッターバイクで用いられる技術を400ccに凝縮したもので、ギア比も非常にクロス(狭い間隔)に設定されています。
つまり、1速が「他のバイクで言うところの2速や3速」に相当する伸びを見せるのです。
| ギア段 | 最高速度(実測) | 回転数 |
|---|---|---|
| 1速 | 約89km/h | 14,300rpm付近 |
| 2速 | 約125km/h | 14,500rpm |
| 6速 | 約245km/h | 14,500rpm(レッドゾーン) |
実際のライダーによる検証でも、「本線合流時に1速のまま80km/hを超えた」という証言が多数寄せられています。
もちろん法定速度を超える行為は厳禁ですが、このデータが示すのはあくまで“潜在性能”の高さです。
試乗体験で見えたZX-4RRの異次元トルク特性
高回転型エンジンと聞くと「低速トルクが弱い」と思われがちですが、ZX-4RRはその常識を覆します。
電子制御スロットルとKTRC(トラクションコントロール)、KQS(クイックシフター)などのシステムが組み合わされ、極めてスムーズなトルク特性を実現しています。
実際の試乗レビューでは、「1速のままでも峠をスムーズに走れる」「アクセル操作に対して唐突な反応がない」と評価されました。
つまり、89km/hという数値は単なるスピード自慢ではなく、制御された高性能の象徴なのです。
試乗体験者による印象を一部引用すると、次のようなコメントが多く見られます。
- 「1速で峠を登れるなんて信じられない」
- 「エンジンが吠えるというより歌うように回る」
- 「制御が緻密すぎて怖さを感じない」
こうした評価は、カワサキの電子制御技術の高さを如実に示しています。
リッターSSと比べて何が違う?“速さの質”を分析
ZX-4RRはリッターバイク(1000ccクラス)と比較しても、体感的な「速さ」で引けを取りません。
その理由は、車重189kgという軽さと、14,500rpmという高回転領域の両立です。
リッターバイクは確かに直線加速が強烈ですが、その分、操作には神経を使います。
ZX-4RRは軽量ゆえに「パワーを使い切れる速さ」を楽しめる点が大きく異なります。
| 比較項目 | ZX-4RR | リッターSS(例:ZX-10R) |
|---|---|---|
| 最高出力 | 77〜80PS | 203PS |
| 装備重量 | 189kg | 207kg |
| パワーウェイトレシオ | 2.45kg/PS | 1.02kg/PS |
| 体感加速の扱いやすさ | 非常に高い | ピーキーで繊細 |
この比較からもわかるように、ZX-4RRは「絶対速度」では敵いませんが、“体感できる速さ”では勝っている場面が多いのです。
言い換えるなら、リッターバイクが「圧倒的な力を抑える速さ」だとすれば、ZX-4RRは「全開にして楽しめる速さ」です。
その意味で、このマシンは“操れる限界速度”を味わえる稀有な存在だと言えるでしょう。
歴代400ccバイク最速モデルを振り返る【1980〜2024】
400ccバイクの“最速”の歴史を振り返ると、そこには日本の技術進化の軌跡があります。
1980年代後半から1990年代前半にかけて、各メーカーが競い合うように高性能モデルを投入。
当時はまさに「400cc戦国時代」と呼ぶにふさわしい黄金期でした。
CBR400RR・RVF400・ZXR400……黄金期を彩った名機たち
1980〜1990年代は、“レーサーレプリカ”ブームの真っ只中。
ホンダ・カワサキ・ヤマハ・スズキが、それぞれの技術を惜しみなく投入しました。
その中でも、CBR400RR、VFR400R、ZXR400、FZR400といったモデルは、400cc最速の象徴として知られています。
| モデル名 | 登場年 | 最高出力 | 理論最高速度 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ホンダ CBR400RR(NC29) | 1988年 | 59PS/13,000rpm | 206.7km/h | 空力と軽量化を極めた初代“RR”モデル |
| ホンダ RVF400(NC35) | 1994年 | 54PS | 約204km/h | V4エンジン+プロアーム採用の名機 |
| カワサキ ZXR400R | 1989年 | 56PS | 約196km/h | 高回転型直4+鋭いハンドリング |
| ヤマハ FZR400 | 1986年 | 55PS | 約194km/h | 軽量フレームと高剛性サスで人気 |
この時代の特徴は、排気量400ccながら200km/hを超える性能を持っていたことです。
それを支えたのは、軽量化・高回転化・空力設計という3つの要素でした。
つまり、ZX-4RRのような現代モデルの哲学は、すでにこの時代に始まっていたのです。
「61PSの壁」を超えたGSR400の衝撃
2000年代になると、排ガス規制や騒音基準により、400ccクラスは一時的に停滞します。
そんな中、2007年に登場したのがスズキ GSR400。
このバイクは自主規制53PSを突破し、61PSという前代未聞の出力を実現しました。
| モデル | 登場年 | 最高出力 | 車重 | 理論最高速 |
|---|---|---|---|---|
| スズキ GSR400 | 2007年 | 61PS/12,000rpm | 215kg | 203km/h |
この61PSという数字は、当時のバイク界に衝撃を与えました。
それまで「400cc=53PSまで」という暗黙のルールがあった中で、GSR400はそれを打ち破ったのです。
“ネイキッドなのに最速級”という立ち位置を確立し、今でもファンの多いモデルです。
最新モデルが“昔より速い”理由はどこにある?
ZX-4RRやCBR400Rなど、現代の400ccバイクが過去の名車より速い理由は単純な出力だけではありません。
最大の違いは、電子制御と軽量化技術の進化です。
トラクションコントロール、ABS、クイックシフターといった電子制御により、限界性能を誰でも安全に引き出せるようになりました。
また、素材技術の向上により、車重を抑えながら剛性を高めることが可能になっています。
| 時代 | 代表モデル | 最高出力 | 重量 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 1990年代 | CBR400RR(NC29) | 59PS | 162kg | 高回転・軽量・空力重視 |
| 2000年代 | GSR400 | 61PS | 215kg | ネイキッド最強・自主規制突破 |
| 2020年代 | ZX-4RR | 77〜80PS | 189kg | 電子制御+高出力+軽量化 |
こうして見ると、ZX-4RRはまさに“400cc最速の正統進化形”。
1980年代のレーサーレプリカ魂を現代技術で蘇らせた、歴史の頂点に立つバイクと言えるでしょう。
「400ccクラス=中間排気量」はもう古い?
かつて400ccクラスといえば、「250ccでは物足りないけど、リッターは重すぎる」という中間層の選択肢でした。
しかし、時代は変わりました。
ZX-4RRの登場によって、400ccという排気量が“中間”ではなく“最速ゾーン”へと進化を遂げたのです。
技術進化で400ccが再び“最速ゾーン”に返り咲いた
400ccクラスの“中型”というイメージを壊したのは、間違いなくZX-4RRです。
このマシンは、従来の400ccに見られた「パワー不足」や「中間トルク重視」の設計を完全に覆しました。
ラムエア加圧時80PS、パワーウェイトレシオ2.45kg/PSという数値は、もはや600ccクラスに匹敵します。
| 排気量クラス | 代表モデル | 最高出力 | パワーウェイトレシオ |
|---|---|---|---|
| 250cc | ホンダ CBR250RR | 42PS | 4.0kg/PS |
| 400cc | カワサキ ZX-4RR | 80PS(ラムエア時) | 2.45kg/PS |
| 600cc | ヤマハ YZF-R6 | 120PS | 2.1kg/PS |
こうして比較すると、400ccクラスがもはや“中間”ではなく“上位性能ゾーン”にいることが一目瞭然です。
特にZX-4RRのエンジンは、1リッターあたり200PS級の高出力密度を誇ります。
それはまさに、400ccの枠を超えた“技術のショーケース”です。
現代の400ccは“軽量+高回転”でリッターバイクを脅かす存在
現代の400ccは、排気量こそ小さいものの、エンジン回転域と重量比のバランスでリッターバイクを追い詰める存在になりました。
特にZX-4RRの14,500rpmという高回転域は、まるでF1エンジンのようです。
軽量な189kgの車体との組み合わせにより、リッターバイク顔負けの加速とレスポンスを実現しています。
| モデル | 最高回転数 | 重量 | 加速感の特徴 |
|---|---|---|---|
| カワサキ ZX-4RR | 14,500rpm | 189kg | リニアで鋭い、制御しやすい高回転型 |
| カワサキ ZX-10R(1000cc) | 13,500rpm | 207kg | 強烈だがピーキーで扱いにくい |
このように、数値上ではリッタークラスに届かなくても、実際に乗ると「体感的には同等」と感じる場面が多いのです。
ZX-4RRは、単なる小排気量モデルではなく「軽さで速さを作る」バイクの理想形といえるでしょう。
ZX-4RRが市場にもたらした衝撃的な意味
ZX-4RRが登場したことで、400ccクラスの存在意義が再定義されました。
これまでの「初心者向け」「中型クラス」というイメージが消え、代わりに“実力派スーパースポーツ”としての地位を確立しています。
これは単なるスペック競争ではなく、バイク文化そのものの変化です。
- メーカーが再び400cc開発に本気を出し始めた
- 大型免許を持つライダーが“ダウンサイジング”を選ぶ時代に
- 電子制御と軽量化により「楽しめる速さ」が実現
つまり、400ccクラスは「リッターバイクの下位」ではなく、「最も楽しい排気量帯」へと進化したのです。
ZX-4RRはその象徴として、今後のバイク市場に大きな影響を与え続けるでしょう。
“400cc=中間排気量”という概念は、もはや過去のもの。
いまや400ccは、“軽さ×技術×速さ”が融合した、新しい最速カテゴリーなのです。
400ccバイクを選ぶ前に知っておきたい「速さの体感差」
「速いバイクが欲しい」と思っていても、実際に乗ると“想像と違う速さ”を感じることがあります。
それは、スペック上の速さと、実際に感じる速さ(体感速度)が必ずしも一致しないからです。
ここでは、数字だけでは見えない「速さの感じ方の違い」を整理します。
スペック上の速さ vs 乗って感じる速さ
カタログ上の最高速度や馬力はあくまで参考値です。
実際の「速さの感覚」は、車体重量・トルク特性・ハンドリング・ポジションなどの要素が組み合わさって生まれます。
たとえば、ホンダCBR400Rは出力46PSと控えめですが、「思った以上に速い」と感じる人が多いのはそのためです。
| モデル | 最高出力 | 重量 | 体感速度の印象 |
|---|---|---|---|
| カワサキ ZX-4RR | 77〜80PS | 189kg | 異次元の高回転加速/操作に対して反応が速い |
| ホンダ CBR400R | 46PS | 192kg | 扱いやすく、安心感のある速さ |
| カワサキ Z400 | 48PS | 167kg | 軽さゆえに「俊敏さ」が速さに感じる |
このように、スペック上の速さが高いほど体感速度も上がるとは限りません。
軽量な車体や、バランスの取れたパワーデリバリーの方が、“速く感じる”ことが多いのです。
ポジション・重量・空力が与える“スピード錯覚”の正体
バイクの体感速度には、ライディングポジションや空気抵抗も大きく関わっています。
たとえば、スーパースポーツタイプのZX-4RRは前傾姿勢で風を切るため、実際よりも速く感じやすい構造です。
一方、ネイキッドのZ400は姿勢が直立しているため、風を全身で受けて速度感を強く感じる傾向にあります。
| モデル | ポジション | 空力特性 | 速度感への影響 |
|---|---|---|---|
| ZX-4RR | 前傾強め | 風圧を逃がす | 安定感が高く、速さを感じにくい |
| Z400 | 直立寄り | 風を受けやすい | スピード感が強く出る |
| CBR400R | やや前傾 | 中間的 | 自然でバランスの取れた速度感 |
つまり、体感速度とは「風の当たり方」「視点の高さ」「車体挙動」によっても変化するのです。
同じ速度でも、前傾姿勢のバイクでは“滑らか”に感じ、ネイキッドでは“速い”と錯覚します。
これは心理的な要素も含むため、自分の感じ方が最も重要です。
安全に速さを楽しむための乗り方と意識
高性能バイクを安全に楽しむためには、正しいライディングフォームと操作技術が欠かせません。
特にZX-4RRのような高回転型バイクでは、上体の安定と下半身のホールドが重要です。
正しいフォームを身につけることで、ブレーキングやコーナリング時の安全性が格段に向上します。
- 上体をリラックスさせ、肩の力を抜く
- ニーグリップ(膝でタンクを挟む)で車体を安定させる
- 急加速・急減速時は、視線を遠くに保つ
また、ブレーキの使い方も速さの安全性に直結します。
前後ブレーキの配分を理解し、“止まれる速さ”を意識して走ることが重要です。
公道では、速度そのものよりも「スムーズな流れ」を作ることが、安全かつ爽快な走りにつながります。
そして、より高い速度域を体験したい場合は、サーキット走行が最適です。
クローズドコースで走れば、愛車の性能を限界まで試すことができ、操作技術も磨けます。
“速く走る”とは、単に速度を出すことではなく、速さを自在に扱えること。
それこそが、400ccクラスの真の魅力なのです。
【タイプ別】あなたに合う“最速バイク”の選び方
「最速」といっても、どんな場面で速さを求めるかは人それぞれです。
サーキットでの絶対速度、公道での扱いやすさ、あるいは旧車の官能的な走り。
ここでは、用途やライディングスタイル別にあなたに最適な“速さのタイプ”を紹介します。
直線加速・サーキット志向 → ZX-4RR/GSR400
「とにかく速く走りたい」「サーキットで攻めたい」という人に最適なのが、この2台です。
ZX-4RRは現行400ccクラス最強の出力を誇り、ラムエア加圧時には80PSに達します。
1速で89km/hという異次元のギア比を持ち、高速コーナーの立ち上がり加速でもリッタークラスに迫る勢いです。
| モデル | 特徴 | おすすめポイント |
|---|---|---|
| カワサキ ZX-4RR | 高回転4気筒/電子制御装備 | サーキットでも扱いやすい。400cc最速 |
| スズキ GSR400 | 高出力ネイキッド/61PS | パワー重視の直線番長。中古市場で人気 |
ZX-4RRは電子制御の恩恵で初心者でも安全に高性能を楽しめるのが強み。
一方GSR400は荒々しいパワー感が魅力で、操る楽しさを味わいたい人に向いています。
街乗り・ツーリング両立型 → CBR400R/Z400
「通勤や日常でも使いたい」「長距離でも疲れたくない」という人にはこの2台。
CBR400Rは46PSと控えめながら、スムーズなトルクと空力の良さで快適なツーリング性能を発揮します。
Z400は軽量な167kgの車体が魅力で、街中のストップ&ゴーでも扱いやすいバイクです。
| モデル | 特徴 | おすすめポイント |
|---|---|---|
| ホンダ CBR400R | 並列2気筒/フルカウル | 快適性と燃費のバランスが◎ |
| カワサキ Z400 | 軽量ネイキッド/48PS | コスパ最強。軽快で初心者にもおすすめ |
CBR400Rは高速道路での安定感が高く、初心者ライダーにも人気。
Z400は同エンジンを搭載しながら、軽快さとコスパを重視したモデルです。
どちらも「実用的な速さ」を求めるライダーにぴったりです。
旧車ファン・V4サウンド重視 → VFR400R/XANTHUS
「数字よりも味」「機械としての個性を楽しみたい」というライダーには、VFR400RやXANTHUS(ザンザス)がおすすめです。
VFR400RはV4サウンドとプロアーム構造が特徴で、今でも“400ccの至宝”と呼ばれています。
XANTHUSはカワサキが1990年代に送り出した異色のネイキッドモデルで、軽快なハンドリングが魅力です。
| モデル | 特徴 | おすすめポイント |
|---|---|---|
| ホンダ VFR400R(NC30) | V型4気筒/59PS | 独特の排気音と高回転フィールが唯一無二 |
| カワサキ XANTHUS | DOHC4気筒/54PS | 個性派旧車。軽快でチューニングベースにも人気 |
旧車を選ぶ際の注意点として、部品供給や整備性があります。
年式によってはパーツが入手困難な場合もあるため、専門ショップでのメンテナンス体制を確認しておくと安心です。
それぞれのバイクには明確な個性があります。
あなたがどんな「速さ」を求めるかで、選ぶべき1台は変わります。
直線の爆発的な加速、ワインディングでの軽快さ、そして旧車の味わい――。
どれも400ccならではの「楽しめる速さ」なのです。
まとめ|400ccバイク最速は「ZX-4RR」で確定。でも本当の“速さ”は人それぞれ
2025年の400ccクラスにおいて、最速の座に輝くのは間違いなくカワサキ Ninja ZX-4RRです。
77PS(ラムエア加圧時80PS)の出力、実測240km/h超の最高速、そして1速で89km/hという異次元の性能。
それらすべてが、ZX-4RRを400ccバイクの頂点に押し上げています。
「数字」だけじゃ語れない、“操る喜び”の世界へ
しかし、バイクの「速さ」は数字だけでは測れません。
CBR400Rのように扱いやすい速さ、Z400の軽快な速さ、VFR400Rの官能的なV4サウンド。
それぞれが異なる魅力を持ち、どれも正解です。
つまり、“自分にとっての最速”こそが、本当の意味での速さなのです。
ZX-4RRが特別なのは、その高性能を「誰でも楽しめる速さ」として体験できる点にあります。
リッターバイクのような威圧感ではなく、扱いやすさと圧倒的パフォーマンスの共存こそが、このマシンの真価です。
速いのに怖くない。限界を感じながらも、まだ余裕がある。
その絶妙なバランスが、ZX-4RRを“次世代スーパースポーツ”として輝かせています。
400ccクラスは今、再び黄金時代を迎えている
ZX-4RRの登場によって、400ccクラスは再び脚光を浴びました。
1980〜90年代のレーサーレプリカブーム以来、これほど話題になった時代はありません。
いまや、トライアンフのSpeed400やホンダの新型CB400、スズキGSX-8Rなど、各社がこの領域に再参入しています。
その背景には、「大型バイクよりも楽しい中排気量」という価値観の広がりがあります。
| 時代 | 主なトレンド | 代表的モデル |
|---|---|---|
| 1980〜90年代 | レーサーレプリカ黄金期 | CBR400RR/VFR400R/ZXR400 |
| 2000年代 | ネイキッド全盛・GSR400登場 | GSR400/CB400SF |
| 2020年代 | 電子制御×高出力時代 | ZX-4RR/Z400/CBR400R |
技術革新により、400ccクラスは単なる“中型”ではなくなりました。
今後はさらに高性能化・多様化が進み、誰もが自分の「理想の速さ」を選べる時代になります。
だからこそ大切なのは、数字ではなく「自分に合う速さ」を見つけることです。
ZX-4RRが象徴するのは、最速という称号だけでなく、“楽しめる速さ”という新しい価値観。
400ccバイクの未来は、再び熱を帯びています。
あなたにとっての最速が、誰かにとっての理想でなくても構いません。
大切なのは、自分のペースで、心が震える瞬間を味わうこと。
――その瞬間こそ、バイクに乗る「理由」であり、「自由」なのです。

