こちらの情報では、CBR650Rに装備される6速MTのギア比(歯車比・減速比)や駆動力について、それらがエンジンの回転数や最高速度(トップスピード)とどのような関連性を持つのかを、シミュレーションを通じて解説しています。
CBR650Rの最高速は?ギヤ比と加速の密接な関係
現行のRH03型CBR650Rのトランスミッションには、レシオカバレッジ2.530という非常にタイトなクロスレシオが使用されている6速マニュアルトランスミッションが搭載されています。このギヤボックスによって、加速性能とギヤチェンジの質を最優先に設計された印象を受けます。
このトランスミッションを速度に着目してみると、1速ギヤでの最高速98.1km/h(ギヤ比 3.071)から、6速ギヤでの最高速248.1km/h(ギヤ比 1.214)まで、150.0km/hの速度差が存在します。この差異を4速のギヤを介してスムーズに加速していく構成になっています。
各ギヤ比と、第一次減速比1.690及び第二次減速比2.800を組み合わせた総減速比を、一覧表にまとめたギヤ比の項目には[]記号で表記しています。
「シフトアップ回転数」とは、例えば1速で12000rpmまでエンジンを回転させたのち、2速にシフトアップしたとき、1速と2速のステップ比(0.766)に基づくと、エンジン回転数が9190rpmにまで落ちることを示しています。
ステップ比が大きいとシフトアップ後の回転数が大きく下がり、パワーバンドから離れてしまう恐れがありますので、その場合は12000rpmを超えるまでエンジンを回転させることで加速感を高めることが可能かもしれません。逆に、ステップ比が小さい場合は、早めのシフトアップが好ましい結果をもたらす可能性があります。
エンジンの最高出力が発生する12000rpmのとき、最も高い6速ギヤのギヤ比1.214では速度が248.1km/hに達し、時速100kmでのエンジン回転数は4840rpmです。
最高速に焦点を当ててみると、高速道路を走行する際には必要のない速度かもしれませんが、逆にいうと巡航時のエンジン回転数を低く維持できるというメリットもあります。冷静さを保ち、落ち着いた態度で運転することが大切です。
最高出力が発生する回転数の半分以下で時速100kmを出せることから、過度に回転数を上げることなく、快適な高速クルーズが期待できます。
750cc以下で時速100km時の低回転数バイクランキング
巡航時のエンジン回転数を効果的に下げる方法として、タイヤの外径を大きくしたり、フロントスプロケットの歯数を標準の15から増やしたり、リアスプロケットの歯数を42以下に減少させるという方法があります。
レブリミットと最高速度|12000rpm以降の速度
最高速度は最高出力に大きく依存しますが、ギア比、タイヤの直径、さらにはエンジンの回転数なしには語ることが難しいです。エンジンのレブリミット(最大回転数)については、エンジンのタイプや制御手法によって多岐にわたるため、一概には言い切れません。
ここでは、簡単に最高出力を生み出す12000rpmを基点とし、さらに10%増である13200rpm、20%増である14400rpm、30%増の15600rpmまでエンジンが回転した場合の速度を一覧表にまとめてみました。(8500rpmは最大トルク発生時の回転数です)
エンジンのレブリミットは、最高出力を出す12000rpmより少し高めに設定されていますが、12000rpmを超えるとエンジンの出力は下降傾向にあるため、12000rpmを超えても加速が続くのかは判然としません。実際の最高速度は、車両の走行抵抗と出力がバランスを取る速度で決まります。
表にオレンジ色で示された項目では、各回転数における平均ピストン速度が示されています。この速度は、エンジンの回転数上限に影響を及ぼす一因であり、12000rpm時の18.40m/sから回転数が上がるごとに増加し、15600rpmでは23.9m/sとなります。
以下にその一覧を示します。
回転数(rpm) | 推定最高速度(km/h) | 平均ピストン速度(m/s) |
---|---|---|
12000 | 未記入 | 18.40 |
13200 | 未記入 | 未記入 |
14400 | 未記入 | 未記入 |
15600 | 未記入 | 23.9 |
巡航時の各ギヤにおけるエンジン回転数
自動車が一定の速度で走行する際、各ギヤが実際にどの程度のエンジン回転数を示すのか、1速から6速までの詳細なデータについて解説します。
6速ギヤの状態で、時速40キロメートルを走る場合は1940回転/分(rpm)、時速60キロメートルでは2900rpmを記録します。また、高速走行で一般的な時速80キロメートルでは3870rpmが必要とされ、さらに増速して時速100キロメートルにおいて4840rpmが、制限速度が時速120キロメートルに達した場合は5810rpmをマークします。
また、特定の場合におけるエンジン回転数も注目に値します。例えば速度制御装置(スピードリミッター)が作動する時速180キロメートルでは8710rpmが求められ、車両によっては最高で時速300キロメートルで14510rpmまでエンジンが回転することがあります。ただし、これらの速度に到達可能な車種は限られており、エンジンの出力と回転数、そしてギヤ比が深く連携している点に留意が必要です。
8500rpmと12000rpmの駆動力とトルクウェイトレシオ
750cc以下の発進加速性能ランキングでは、エンジンが生む最大トルクである6.5kgmはギアを通じて減速され、結果的に原始の数十倍、数百倍にまで増幅します。例を挙げると、1速ギアでの軸トルクは3.071倍、さらに一次減速比、二次減速比で4.732倍となり、タイヤの半径で除算すると結局のところ、駆動力は299.9kgmに達するのです。
また、このエンジンは12000rpmで95PSを生み出し、その際の軸トルクは5.7kgmです。同様の計算を施すと最終的な駆動力は263.0kgmになります。通常、この値が大きければ大きいほど推進力が増し、8500rpmと12000rpmでの差が少ない場合は高回転域でのトルク減少が最小限に抑えられ、持続する加速感が体感できるでしょう。
【】内の数字は、最大トルク発生時(6.5kgm/8500rpm)に各ギアの駆動力を車両重量206kgで割ったトルクウェイトレシオを指し、最小は1速ギア時の0.69kg/kgmとされています。この0.69kg/kgmという値は、信号発進でも競り勝つことが期待できる加速性能を示しており、愛着が一層深まり、「このバイクに乗っていて本当によかった!」と実感させてくれることでしょう。
さらに、自動車の情報サイトで集計した1速ギアのTWR(トルクウェイトレシオ)平均は1.60kg/kgmであり、一流のスポーツカーでさえ、一瞬で置き去りにするほどの強烈な加速が期待できるのです。
前後スプロケットの丁数変更と速度変動の密接な関係
以降の考察では、部品の存在や取り付け可能性を考慮せず、前後スプロケットの歯数の変更がもたらす影響に着目します。具体的には、歯数変更によって100km/h走行時のエンジン回転数や、最大ギヤ比での12000rpm時の速度、さらには1速ギヤにおける最大駆動力の変動を分析していきます。
フロントスプロケット変更の影響について
CBR650RのRH03型におけるフロントスプロケットは標準で15丁装備されていますが、この数を12丁に減らした場合から18丁に増やした場合まで、変化させてみたところ様々な影響が現れました。
標準の15丁の状態では、時速100km走行時のエンジン回転数は4840rpmとなり、12000rpmの時の速度は248.1km/hに到達。また、最大駆動力は299.9kgmと計算されます。
一方、スプロケットを12丁にすると、ギヤ比はより低くなり、エンジン回転数が6050rpmに上昇し、時速は198.4kmまで落ち込みます。しかし、最大駆動力は374.8kgmに向上し、速度面では下がりますが加速もよりパワフルになります。
逆にスプロケットを18丁に増やした場合には、ギヤ比が高くなり、エンジン回転数は4030rpmに低下。しかし、時速は297.7kmまで伸び、最大駆動力は249.9kgmと低下しますが、更なる高速域での性能を引き出すことができます。
スプロケットを大きくすることによって、巡航時のエンジン負荷は軽減し燃費向上が期待されますが、一方でエンジン特性とマッチしない過度なギヤ比の変更は、発進性能の極端な低下を招くリスクも抱えています。
リアスプロケット(ドリブンスプロケット)の変更と影響
リアスプロケットの歯数を標準の42丁から変更するとどうなるか見てみましょう。リアの場合、前輪とは逆に歯数を減らすとギア比が上がり最高速が向上し、歯数を増やすとギア比が下がり加速が向上します。しかし、リアはもともと歯数が多いので、前輪の1丁変化に比べて変化は大きくありません。例えば、前輪を14丁にして加速を重視するか、16丁にして最高速を重視するかという大枠の方向性を決めた後に、リアの調整で微調整を行うのです。また、前輪を15丁のままにしてリアの変更で特性を調整するなどの方法もあります。スプロケット選びは、考えるだけでもワクワクするものです。
※スプロケットの歯数を変更すると、バイクによってはスピードメーターの誤差が出ることがあります。この誤差が大きいと車検に通らないことがありますし、特に最高速を追求する変更を行った場合は、予想外のスピード違反が発生することもあるため注意が必要です。