本ページにて、Ninja ZX-6Rが備える6速マニュアルトランスミッションのギア比(歯車比・減速比)、駆動力、エンジン回転数、そして最高速度との関係性についてのシミュレーションを行っています。
ニンジャ ZX-6R KRT版の最高速は?
カワサキ Ninja ZX-6R ZX636G型のトランスミッションは、加速性能とのシームレスな連携を求める設計思想に基づき、レシオカバレッジが2.189のハイパフォーマンスな6速MTが搭載されています。1速のギヤ比が2.846であり、この状態において最高速度103.4km/hから、6速ギヤ比が1.300で最高速度が226.5km/hに至るまでの速度差が123.1km/hとなっており、間の4段階のギヤにより、滑らかに速度が増されています。
一方で、総減速比は[]内に示された数値であり、ギヤ比に一次減速比1.900、二次減速比2.866をそれぞれ掛けた値になっています。「Shift-up回転数」は、1速の13500rpmからシフトアップすることで、ギヤのステップ比が0.773となるため、この時点での回転数が10440rpmに落ちることを示しています。ステップ比の選定によっては、シフトアップするタイミングを工夫することで、加速感を向上させることができるでしょう。
エンジンが最高出力を発揮する13500rpm以降の6速ギヤで計算すると、最高速度は226.5km/h、時速100km/hの際のエンジン回転数は5960rpmとなります。最高速の観点から考察すれば、高速道路などでこの速度を活かす必要は殆どないものの、巡航時の回転数を下げることで経済性を高められるという利点もあります。衝動に駆られずに、落ち着いた態度でコントロールすることが大切です。
また、最大出力を発生する回転数のおよそ半分程度で時速100kmが達成できるため、高速クルージング時にストレスなく快適な走行が期待できます。
750cc以下で低回転巡航可能なバイクランキング
巡航時の回転数を下げる方法として、タイヤの外径を大きくするか、フロントスプロケットの歯数を増やす(例:15から16に)、もしくはリアスプロケットの歯数を減らす(例:43から41に)という方法が挙げられます。
レブリミットと最高速度|13500rpmを超えた速度
- 750cc以下のバイクの最高速ランキング
バイクの最高速度を決定づける一つに、最高出力という要素があります。しかし、ギア比やタイヤの直径、エンジンの回転数などを考慮しなければ、その話は成り立ちません。
エンジンのレブリミットとは、具体的にどこまでエンジンが回転するかの上限を指し、これはエンジンの設計や制御方式によって大きく異なります。そこで、単純化のために最高出力を発揮する13500rpmをベースに、そこから10%増の14900rpm、20%増の16200rpm、30%増の17600rpmまで仮にエンジンが回転した場合の速度がどうなるかをリストアップした一覧表を作成してみました。
なお、11000rpmは最大トルクを発揮する回転数を指します。
※エンジンのレブリミットは最高出力を発揮する13500rpmよりもわずかに高めに設定されています。しかし、エンジンのパワーは13500rpmを頂点としてその後は漸減しますので、13500rpmを超えても加速が続くかは確証がありません。
実際的な最高速は、車両が抵抗を克服し、出力がバランスを取った際の速度となります。表中のオレンジ色の欄には、それぞれの回転数において計算されたピストンの平均速度が記載されています。この数値はエンジンが可能な限りの回転数を示す指標であり、13500rpmでの20.30m/sからスタートし、回転数が増加するにつれ可也高速化し、17600rpmでは26.5m/sに達します。
巡航時の各ギヤにおけるエンジン回転数
自動車での移動において、ギヤと速度がどのように関連するのかを見てみましょう。例として、1速から6速までの速度ごとの回転数を検討します。
6速ギヤにおいては、以下の通りです。
- 40km/hで約2380rpm
- 60km/hで約3580rpm
- 高速道路の標準速度である80km/hで約4770rpm
- 100km/hで約5960rpm
- 最高速度120km/hで約7150rpm
なお、エンジンの出力や回転数にはギヤ比が大きく影響します。特定の車種に制限されるものの、スピードリミッターが作動する180km/hでは約10730rpmになります。また、より限られた車種では、300km/hで約17880rpmに達することもあります。
11000rpmと13500rpmにおける駆動力とトルクウェイトレシオ
750ccエンジン以下の車両において、発進加速性能をランキング化したデータがあります。エンジンが発する最大トルクは7.1kg・mで、これはギアを介しての減速を経ることで、幾何級数的に増加し、最終的にはその何十倍、何百倍にもなるのです。
例えば、1速ギアを使用した場合、エンジンの原始トルク7.1kg・mが1速ギアでは2.846倍となり、さらに一次減速比と二次減速比を経由して5.445倍に増幅され、タイヤの半径で割ることで算出される最終的な駆動力は349.3kg・mとなります。
このエンジンは13500rpmで126PSを発揮し、その瞬間の軸トルクは6.7kg・mです。同様に計算すると、最終的な駆動力は329.6kg・mになることがわかります。基本的に、数値が大きいほど地面を強く蹴り出す力として発揮され、11000rpmと13500rpmの差異が小さいほど高回転域でトルクの減少が少なく、加速感が継続することにつながります。
括弧内の数値は最大トルク発生時(7.1kg・m/11000rpm)の各ギアの駆動力を、車両重量197kgで割ったトルクウェイトレシオを表しており、1速ギアでの最小値は0.56kg/kg・mとなっています。
この0.56kg/kg・mという数値は信号スタートで後れを取ることが稀とされるかなりの加速能力を示しており、バイクに対する愛着を深め、乗っていて良かったと感じさせてくれることでしょう。
なお、自動車のサイトにて集計された1速ギアのトルクウェイトレシオ(TWR)の平均値は1.60kg/kg・mであり、高名なスポーツカーでさえも、こういったバイクの猛烈な加速には敵わないことが予想されます。
前後スプロケットと加速力および最高速度の密接な関連性
これより、パーツが存在するか、また装着可能か否かには目を向けず、前後スプロケットの歯数の変更が回転数や最高速度、そして最大駆動力にどのような影響を及ぼすのかを検討します。考察の対象は、時速100kmにおけるエンジン回転数、最高ギア比での13500rpm時の速度、そして1速時の最大駆動力です。
フロントスプロケット(ドライブスプロケット)の変更とその影響
Ninja ZX-6R型式ZX636Gのフロントスプロケット(ドライブスプロケット)は標準で15丁の歯数を持っています。実験的に、この歯数を12丁に減少させた場合から18丁に増加させた場合の変化について検証してみました。
標準設定の15丁の状態で、時速100km走行時のエンジン回転数は5960rpm、エンジン最高回転数13500rpmでの最高速度は226.5km/h、また最大駆動力は349.3kgmとなっています。
これを12丁にすると、ギア比が低くなり、エンジン回転数は7450rpmに増加し、時速は181.1km/hに減少しますが、最大駆動力は436.7kgmと向上し、最高速度を犠牲にして加速力が向上する結果になります。
逆に18丁へと増やすと、ギア比は高くなり、エンジン回転数は4970rpmに低下し、時速は271.7km/hへと上昇しますが、最大駆動力は291.2kgmと低下し、加速力を犠牲にして最高速度が向上することになります。
ギア比を高くすることで、巡航回転数が下がり、最高速が向上し、燃費も改善される可能性があります。しかしながら、エンジンの特性や出力に不相応な高いギア比を選択すると、特に停止状態からの加速時に非常に反応が鈍くなるリスクもあります。
リヤスプロケット変更の影響について
今度は、リヤスプロケットを標準の43丁から変更した際の効果について探ってみましょう。リヤスプロケットは、フロントスプロケットとは逆に歯数を減らすとギア比が高まり、最高速度が向上します。歯数を増やすとギア比が下がり、加速力が強化されるのです。ただし、リヤは元々歯数が多いため、フロントと比べると1丁の変更では大きな違いは感じられません。
フロントスプロケットを14丁にして加速を重視するか、16丁にして高速性能を重視するかなど、大枠の設定を行った後、リヤで微調整をするのが賢明です。または、フロントを15丁のままにしてリヤだけで特性を変化させる方法もあります。どちらにせよ、スプロケットの選択には夢が広がりますね。
※スプロケットの歯数を変更すると、車種によってはスピードメーターに誤差が出る場合があります。メーターの誤差が大きくなり過ぎると車検が通らなくなることもあるため、特に最高速度を上げるための変更を行った場合は、予想外のスピード違反の原因ともなり得るので注意が必要です。