レブル500に採用されている6速MT(マニュアルトランスミッション)のギア比(この場合、歯車比や減速比を指す)と、それによって生じる駆動力やエンジンの回転数、そしてそれが最高速度(トップスピード)にどのように影響するかを模擬的に解析しています。
レブル500の最高速は?ギヤ比と加速と最高速の関係
PC60型レブル500の変速機は、レシオカバレッジ3.150を特徴とし、加速感の迫力と最高速の伸びを両立させた6段マニュアルトランスミッションが採用されています。低速域からハイスピード域に至るまでの幅として、第1ギヤ(3.285)の最高速58.2km/hから、最高の第6ギヤ(1.043)での最高速183.4km/hへと、125.2km/hの差を、中間の4つのギヤでつなぎ、速めていく設計になっています。
各ギヤ比の横には、角括弧[]で囲まれた数値で、各ギヤ比に一次減速比2.029および二次減速比2.666を乗じた值を総減速比として示しています。加えて、「Shift-up回転数」とは、例えば第1ギヤで8500rpmまでエンジンを回し、第2ギヤへシフトアップした場合、ギヤのステップ比(0.641)により、回転数が8500rpmから5450rpmへと低下することを意味しています。
シフトアップする際にステップ比が大きいと、回転数が過度に減少し、パワーバンドを逸脱することもあるため、加速感を高めるためには8500rpm以上まで回転を上げることが望ましいでしょう。逆にステップ比が小さければ、早めのシフトアップが加速向上に寄与するかもしれません。
最大出力が得られる8500rpm時に、第6ギヤのギヤ比1.043では速度183.4km/hが出せます。また、時速100km/h走行時のエンジン回転数は4630rpmとなります。
最高速という側面から考えれば、高速での走行では必要以上の速度は要りませんが、これは同時に巡航回転数を抑えられるというメリットにもつながります。どんなに興奮しようとも、落ち着いた行動で大人の余裕を保つことが肝要です。
また、最大出力が発揮される回転数の半分程度で時速100kmが達成できるため、高速道路を走行しているときに「もう1段高いギヤがあればなあ」と感じることがあるかもしれません。
750cc以下で時速100km/h走行時の回転数が低いバイク ランキング
巡航時のエンジン回転数を抑える簡単な方法としては、タイヤの外径を大きくしたり、フロントスプロケットの歯数を15歯から増やすか、またはリアスプロケットの歯数を40歯より減らす方法が挙げられます。
レブリミットと最高速度 | 8500rpmを越えるスピード
- 750cc以下のバイクの最高速ランキング
高い速度を出すためにはエンジンの最高出力が重要ですが、伝達比やタイヤサイズ、エンジンの回転数なども無視できません。 エンジンのレブリミットは、そのエンジンの設計や制御によって様々ですが、今回はシンプルに最高出力が出る8500rpmを基準にして、10%増の9400rpm、20%増の10200rpm、30%増の11100rpmまで回転させた場合の速度を表にまとめてみました。 (6500rpmは最大トルクが発揮される回転数です)
※レブリミットは最高出力を超える8500rpm以上に設定されることが多いですが、出力は8500rpmがピークでその後は低下し続けるため、8500rpmを超えても加速が続くかは不確定です。 実際の最高速度は走行抵抗と出力のバランスで決まります。 オレンジ色で示された列には、各回転数におけるピストンの平均速度が示されています。 この速度はエンジンの回転数の限界に影響を与える要因の一つであり、8500rpmで18.93m/sから速度が増すにつれて高くなり、11100rpmでは24.7m/sに達します。
一般的な巡航速度でのエンジン回転数
自動車の各ギアでのエンジン回転数の変化を見てみましょう。1速から6速までの間において、一定速度でエンジンがどの程度回転しているかを解析してみました。
6速目のギアでは、40キロメートル毎時で1850回転/分、60キロメートル毎時で2780回転/分となります。高速道路などでよく見られる80キロメートル毎時だと回転数は3710回転/分に達し、100キロメートル毎時では4630回転/分と増加します。速度規制が120キロメートル毎時の場合には、5560回転/分が必要です。
なお、一定の車種においてのみ到達可能ですが、エンジンパワーと回転数、ギア比が互いに関連している点も考慮すべきです。スピードリミッターが作動する180キロメートル毎時では、回転数は8340回転/分に達します。さらに特定の車種に限られますが、300キロメートル毎時ではなんと13900回転/分まで上昇します。
6500rpmと8500rpmの駆動力とトルクウェイトレシオ
- 排気量750cc以下の発進加速性能ランキングにおいて、最大トルク4.4kgmを発揮するエンジンは、ギアを介してその力を増幅させ、驚くべき駆動力を発生させます。例えば1速ギアを使用した場合、4.4kgmのトルクは3.285倍に増幅され、さらに一次・二次減速比を経ることで5.409倍に高まります。最終的にタイヤの半径で除算すると、実に242.1kgmの力が得られるわけです。
- 8500rpmでは46PSの出力を奮い立たせるエンジンは、その瞬間の軸トルクが3.9kgmとなります。これを同じ計算法で解析すると、214.6kgmの最終駆動力が導かれます。一般にこれらの数値が高ければ高いほど、地面を強く蹴り出す力が増し、6500rpmから8500rpmまでの間に大きな差がなければ、トルクの低下が少なく、加速感が継続すると考えられます。
- 掲載されている数値は、最大トルク発生時(4.4kgm/6500rpm)において、各ギアの生み出す駆動力を車両重量の190kgで割ったトルクウェイトレシオを示しており、その中で最も小さい数値は1速ギアの0.78kg/kgmになります。
- 0.78kg/kgmという数値はバイクの平均的な水準ですが、この数値であっても、状況次第で息をのむような驚異のスタートダッシュが可能です。なお、自動車のサイトで調査された1速ギアTWRの平均値は1.60kg/kgmであり、少なくとも1速ギアが最高まで回る間は、多くの自動車がこのバイクの加速に比肩することは難しいと言えそうです。
前後スプロケットと加速力および最高速度の深い関係性
この節では、部品の有無や装着可能性を考慮せず、前輪と後輪のスプロケットの歯数(ここでは丁数)を変更することにより、時速100キロメートルでのエンジン回転数、また最高のギア比での8500回転毎分(rpm)での速度、更には1速ギア時の最大駆動力がどのように影響を受けるかを探ります。
フロントスプロケット(ドライブスプロケット)の変更について
PC60型レブル500に搭載されているフロントスプロケットは標準で15丁です。これを12丁から18丁へと変更することにより、様々な走行性能の違いが生じます。
標準状態での15丁のスプロケットですと、時速100kmを走る際のエンジン回転数は4630rpm、最高速度は8500rpmで183.4km/h、最大駆動力が242.1kgmとなります。
スプロケットを12丁にすると、ギヤ比が低くなり、回転数は5790rpmまで増加する一方で、速度は146.7km/hに減少し、最大駆動力は302.6kgmまで向上します。これにより、最高速を犠牲にして加速力が得られます。
逆にスプロケットを18丁に増やした場合は、ギヤ比が高まり、回転数が3860rpmに減少しますが、速度は220.1km/hに増加し、最大駆動力は201.7kgmに減少します。加速力を犠牲にして、最高速と燃費の向上が期待できます。
巡航時の回転数の低下や最高速の向上、燃費向上は魅力的な点ですが、エンジン特性や出力に合わない過度に高いギヤ比を選択してしまうと、発進時に非常に動きづらい車両になる恐れがあります。
リアスプロケット変更の効果
次に、リアスプロケットの変更について考えてみましょう。元々の40丁から変化させた場合、フロントと逆に歯数を削るとギア比が上がり、最高速度が増加します。反対に歯数を増やすとギア比が低下し、加速度が上がるのです。しかし、リアスプロケットは初めの歯数が多い為、フロントスプロケットほどの影響は出ません。フロントを14丁にして加速を優先させるか、16丁にして最高速を重視させるかで大方の方針を決めた後、リアスプロケットの増減で細かく調整することができます。フロントを15丁固定でリアの調整だけで味付けを変えるといった方法もあります。スプロケット選びは、思いを馳せるだけでワクワクしますね。
注意:スプロケットの歯数を変更した場合、スピードメーターに誤差が出る可能性があります。この誤差が大きいと車検に合格できなかったり、予期せぬスピード違反に繋がる恐れがあるので注意が必要です。