当サイトでは、W800 CAFEの2020年10月型に搭載されている5速マニュアルトランスミッションのギア比(歯車比、減速比)と,走行時の駆動力とエンジンの回転数、そして最高速度の相関関係をシミュレーションする内容を掲載しています。
W800カフェの最高速は?ギヤ比と加速性能の関係性
愛されるEJ800B型W800 CAFEのトランスミッションには、レシオカバレッジ2.764を備えた5速MTが装着されており、最高速よりも加速が優れる特性を持っています。速度の観点で考察すると、1速ギヤ(2.352)における最高速度67.1km/hから、最大の5速ギヤ(0.851)での最高速度185.3km/hに至るまで、約118.2km/hの差を3段階のギヤで補完しています。
一覧表に記されたギヤ比の下に括弧で示された値は、ギヤ比に一次減速比2.095と二次減速比2.466を乗じた総減速比を表しています。さらに、シフトアップ時の回転数についても言及しておきます。例えば、1速ギヤで6500rpmまで回してから2速に上げると、ステップ比(0.676)の計算により、回転数は6500rpmから4390rpmへと低下します。
ステップ比が大きくなると、シフトアップ後の回転数が大幅に下がってしまい、パワーバンドから外れてしまうリスクがあります。その場合は、6500rpmを超えてエンジンを回すことで、加速感を向上させることが可能です。逆に、ステップ比が小さい場合は、早めにシフトアップすることが全体的な加速向上に寄与するかもしれません。
最大出力を発揮する6500rpmの状態で、5速ギヤ比0.851における速度は185.3km/hとなり、時速100kmを走る際のエンジン回転数は3510rpmです。最高速度の観点で言うと、通常の高速道路走行においてはこれほどの速度は不要ですが、これにより低い巡航回転数を維持することができるという利点もあります。不埒な挑戦者の前でいかに血が騒ぐか、冷静さを保って余裕を見せる態度が求められます。
また、最大出力が得られる回転数の半分以上のRPMで時速100kmを出すことが可能なため、高速道路を走行する際には、「もう1段上のギヤに入れられたらよかった」と感じることがあります。
1000cc未満バイクにおける時速100km時の回転数ランキング
巡航時のエンジン回転数を容易に下げる方法としては、タイヤの外径を大きくする、フロントスプロケットの歯数を15から増加させる、あるいはリアスプロケットの歯数を37より減らすといった方法が効果的です。
エンジンの回転限界と最高速度 | 6500rpmを超えた走行性能
自動車の最高速度を決める要因として最高出力は非常に重要です。しかし、ギア比、タイヤの直径、そしてエンジン回転数を無視して評価することはできません。エンジンのレブリミット、すなわちエンジンがどこまで回転できるかについては、機種や制御方式によって多岐にわたるため、この場では最高出力が得られる6500rpmを標準値として設定し、さらに10%上乗せした7200rpm、20%増の7800rpm、そして30%増の8500rpmまでエンジンを回すと仮定した時の速度を表にしています。
なお、4800rpmは最大トルクが発生する回転数です。エンジンのレブリミットは最高出力の6500rpm以上に設定されることが一般的ですが、出力は6500rpmをピークに減少するため、6500rpmを超えても加速が維持できるかは不明です。最高速度は、エンジンの出力と走行抵抗が均衡を保つ速度として現れます。
表内のオレンジ色でハイライトされた欄には、各回転数に基づく平均ピストン速度が示されています。この速度はエンジンの回転限界に影響する要素の一つとされ、6500rpmでの17.98m/sから始まり、8500rpmでは23.5m/sに達します。
排気量 | 4800rpm | 6500rpm | 7200rpm | 7800rpm | 8500rpm |
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1000cc以下 | 最大トルク | 最高出力・基準回転 | 10%増 | 20%増 | 30%増 |
最大トルク発生回転数 | 17.98m/s | 標準(ピストン速度) | オレンジ色 | オレンジ色 | 23.5m/s |
巡航時の速度別回転数
各ギヤにおける車速とエンジン回転数の関係を見ていきましょう。1速から5速において、異なる速度における回転数を示します。
例えば、5速ギヤでの各速度における回転数は以下の通りです。40km/hで1400rpm、60km/hで2100rpmとなり、高速道路でよく見られる80km/hでは2810rpmに到達します。100km/hでは3510rpm、そして制限速度の120km/hでは4210rpmとなるのです。
なお、エンジンの最大出力、回転数、そしてギヤ比は密接な関係にあり、これらによって達成可能な速度は車種によって異なります。一般的にスピードリミッターが作動する180km/hを出すと、エンジンは6310rpmに達します。また、わずかな車種でのみ達成可能ですが、300km/hを出そうとすると、エンジンは10,520rpmまで回転する必要があります。
4800rpmおよび6500rpmでの駆動力とトルク重量比
1000cc未満の車両の発進加速性能についてのランキングを見ると、エンジンの最大トルク6.3kgmが、ギアを介することにより、劇的に増幅されることが分かります。例えば、1速ギアでエンジンの軸トルク6.3kgmが2.352倍に増幅され、更に一次減速比、二次減速比を通じて5.166倍になります。そしてタイヤの半径で割ることで、最終的な駆動力は230.2kgmに達するわけです。
このエンジンは6500rpmで52PSを発揮し、その時の軸トルクは5.7kgmとなります。同様の計算をすると、最終的な駆動力は208.3kgmになります。要するに、この数値が大きければ大きいほど、地面を力強く蹴って加速する力が増し、4800rpmと6500rpmでの差が小さいほど高回転域におけるトルクの減少が少なく、加速感の継続が期待できると言えるでしょう。
括弧内の数値は、最大トルク発生状態(6.3kgm/4800rpm)における各ギアの駆動力を車両重量223kgで割ったトルク重量比です。最小は1速ギアが0.97kg/kgmです。
この0.97kg/kgmという数値は、信号発信の加速競走で敗れることが稀なほどの加速性能を示し、その魅力に引き込まれることでしょう。「このバイクに乗っていて良かった」と思わせてくれる瞬間です。
比較として、自動車のサイトで集めた平均的な1速ギアTWRが1.60kg/kgmであることから、少なくとも1速ギアが頂点に達するまでの間は、多くの自動車とは比べ物にならないパフォーマンスを発揮すると言えます。
前後スプロケットと加速力及び最高速度の密接な関係
これから展開する検討は、部品の有無や装着可能性を考慮せずに、前後スプロケットの丁数を変更した場合に、100キロメートル/時のエンジン回転数、または最高ギア比での6500rpm時の速度、さらには1速ギア時の最大駆動力の変化について探究します。
フロントスプロケットの変更とその影響
EJ800B型W800 CAFEに搭載されているフロントスプロケットは標準で15丁が装備されています。この数を12丁に減らすことも、逆に18丁に増やすことも試してみました。オリジナルの15丁の設定では、時速100kmの際のエンジン回転数は約3510rpm、エンジン回転数6500rpmでの走行速度はおよそ185.3km/h、そして最大駆動力が230.2kgmに設定されています。
フロントスプロケットを12丁に変更すると、ギヤ比が下がり、エンジン回転数は4390rpmまで増加します。この結果、走行速度は148.2km/hまで下がり、最大駆動力は287.8kgmに上昇し、加速力が向上して最高速度を犠牲にする形になります。
一方でフロントスプロケットを18丁に増やすと、ギヤ比が上昇し、エンジン回転数は2920rpmまで下がります。これにより、走行速度は222.3km/hまで上昇し、最大駆動力は192.0kgmまで減少します。このケースでは加速力を犠牲にしつつ、最高速度を向上させることができます。
特に興味深いのは、巡航時のエンジン回転数の低下と、最高速度の向上、そして燃費の改善です。しかしながら、フロントスプロケットの歯数をエンジンの特性や出力と合わないほど高く設定し過ぎると、特に発進時の対応が困難になり、加速がほとんど感じられない非力なマシンに変貌しかねない点に注意が必要です。
リアスプロケットの変更とその影響
リアスプロケットの歯数を、純正の37丁から変更するシミュレーションをしてみましょう。リアスプロケットは、歯数を減らすことでギア比が上がって最高速度が向上し、増やすことでギア比が下がり加速力が増します。ただし、リアの歯数は多いため、変化はフロントスプロケットに比べると限定的です。フロントを14丁にすると加速重視に、16丁にすると最高速重視に傾くため、リアの変更は細かな調節に役立ちます。なお、スプロケットの歯数変更は、車種によりスピードメーターの誤差を引き起こし、車検不合格や思わぬ速度違反に繋がる場合があるので注意が必要です。