長期間バイクを使わない場合、ガソリンが劣化し、次に乗る際にバイクがうまく動かなくなるのではと心配する方もいるでしょう。
そんな時はガソリンをいくらか抜いておくというのも手の行き届いた対応と言えますが、完全に抜く必要は必ずしもありません。
バイクのガソリンの抜き方
バイクのガソリンを抜く際には、いくつかの方法が存在します。車種によって異なる特性を持つ燃料コックを理解し、適切な手順を踏むことが大切です。
燃料コックのある車種
- コックをリザーブの位置にすることでガソリンを抜くことができる
負圧式、燃料コックのない車種
- タンクと負圧コックをつなぐパイプにクリップを使用して閉じる
- 負圧コックからパイプを抜き、適当な容器に挿してガソリンを流し込む
- クリップを取り除くと、ガソリンが出てくる
- キャブレターに繋がるパイプを取り外して、ガソリンを抽出する
ただし、バイクのタンクを逆さまにしてガソリンを抜こうとするのは危険が伴いますので、避けるべきです。それが難しい場合、簡単にタンクのキャップを開けてガソリンをポンプで吸い出す方法もあります。
例えば石油ストーブ用の灯油を抜く際に使うポンプで十分ですし、もし持っていなければホームセンターで手軽に購入可能です。しかし、この方法ではタンク底に少しガソリンが残る場合があります。通常はこの程度の残量であれば問題は生じませんが、気になる場合は以下のような措置を取ることができます。
- エンジンを空運転にして消費する
- 布巾などを利用してガソリンを拭き取る
- 細いホースをタンクに入れて、残ったガソリンを吸い出す
これらの方法を駆使して、ガソリンを確実に使用し切ることを目指します。
ガソリンの揮発性とその影響
ポンプによってガソリンが移送される際、微量ではあるものの、一部が容器に残留する場合があります。通常、ガソリンはその揮発性のために蒸発して消失します。この揮発性とは、ある特定の温度を超えた場合に、時間が経過するごとに定量的に蒸発する性質を指します。
ガソリンは非常に揮発性が高く、この性質により、約40度を越える環境下においては急激に蒸発し始めます。特に夏場においては、ガソリンタンクを密閉した状態でも、蒸発は加速し、残留していたわずかな量のガソリンでもすぐになくなることが予想されます。
バイク保管時のキャブレター保護対策
バイクを長期間保管する際には、ガソリンタンクだけでなく、キャブレターのメンテナンスも心掛けることが大切です。キャブレター内のガソリンを除去するには少々手間がかかりますが、以下の方法を試してみてください。
- 燃料コックがある場合は、それをオフの位置に設定する
- 燃料コックがない車種の場合は、ガソリンタンクとキャブレターをつなぐホースを取り外し、キャブレターにあるドレンを外してガソリンを抜く
長期的な放置においては、ガソリンタンクよりもキャブレターの方が劣化が早く進む傾向にあります。そのため、できる限り上記の手順を踏むことで、キャブレターの保護を行いましょう。
ガソリンの保管法と適正な容器
ガソリンを排出した後の適切な保管手段についての知識は極めて重要です。一例としてペットボトルでの保管方法が考えられますが、静電気の問題によりガソリンの保管には不適切で、この方法での保管は厳に慎むべきです。推奨される保管方法は以下の通りです。
- ガソリン専用携帯缶(ホームセンターで購入可能)
- 最低限、金属製の缶で保管する
これらの缶を使用すれば、抜き取ったガソリンを再び使用する際にも活用可能です。
引越し時のバイク運搬と燃料対策
引越しする際、バイクを自ら運転することなく運送業者を利用するケースでは、ガソリン抜きが推奨されることがよくあります。これは運送業者の指示であり、面倒を起こすためではなく、運送法という法的根拠に基づく安全配慮のためとされています。
ガソリンは完全に抜く必要はなく、部分的に減らすだけで十分です。引越し後には早急にガソリンを補給する必要があるため、抜き過ぎることは避けましょう。
ガソリン抜きの実施方法についてはすでにご紹介した通りですが、引越し期間が非常に短期間の場合、全てを抜く必要はありません。最も手軽なガソリン抜き方法としては以下を試してみてください:
- ガソリンスタンドでガソリンを適量抜いてもらう
- タンク内のガソリンが多いと感じたら走行やアイドリングで調節する
- 運送業者にはガソリンを抜いた旨を伝え、陸送をお願いする
- 新居に着いたら迅速にガソリンスタンドで給油する
ごく少量のガソリンが残っている状態でも、ほとんどの場合問題はありません。