バイクの運転免許を取得するためには、教習所で技能講習を受けなければなりません。初めての技能講習の際に、
「そもそも、バイクの技能講習にはどのような装いで挑むべきなのだろう?」
と考える方は少なくありません。意外と知られていないこの事実ですが、講習には適した服装が定められており、何を着ても良い訳ではないのです。
さらに、基本的な服装については把握している方も、
「しかし夏場や冬場はどうすれば良いのだろうか?」
と迷うこともあるでしょう。そんな疑問を解消するため、以下の内容について詳しく説明します。
- 技能講習時におけるバイクの適切な服装
- 講習を受けることができない、不適当な服装
- 季節を考慮した夏と冬の教習時の服装の選び方
- 持ち物としてのバッグや貴重品の処理方法
バイク教習の靴と服装は何が正解?
バイクの教習では一般的な私服で構いませんが、動きやすさは必須です。しかし、安全上の観点から最低限守るべき服装のルールが定められています。これらのルールは教習所ごとに若干異なる場合がありますが、基本的に共通しています。服装が適切でないと判断されると教習を受けることができないので注意しましょう。
- 長袖
- 長ズボン
- ヘルメット
- グローブ
- 靴
- プロテクター
これらのアイテムは教習時に必ず必要ですが、具体的なポイントについて説明していきましょう。
長袖・長ズボンの必要性
バイク教習では、安全のため肌を露出しないよう長袖と長ズボンの着用が必要です。これは、万一の転倒時に擦り傷などの怪我を防ぐためです。夏場であっても半袖やキャミソール、そして女性の場合はスカートも禁止されています。素材の指定は特にないため、ジーンズや綿製のパンツ、スウェットなど動きやすいものであれば何でも構いませんが、肌がしっかり覆われることが条件です。そのため、七分丈やシースルー素材の長袖は適していませんので注意しましょう。
ヘルメットについて
多くの教習所ではヘルメットの貸出しサービスを提供していますので、必ずしも自前で準備する必要はありません。しかし、共有のヘルメットを使うことに不快感を覚える人も少なくないでしょう。特に汗ばむ季節には、湿ったヘルメットの装着は気が進まないものですよね。そういった理由から、将来的にヘルメットを購入するつもりがあるのであれば、先んじて自己所有のヘルメットを準備しておくことを推奨します。
使用可能なヘルメットの種類としては、ジェットヘルメットやフルフェイスヘルメットが一般的です。ただし、注意点としてPSCマークまたはSGマークの入った規格合格品であることが必須です。ハーフタイプのヘルメットでは教習を受けることができないので、これは特に意識してください。更に稀ですが、「女性はフルフェイスのみ可」とする教習所も存在します。主流ではありませんが、通う予定の教習所の規定を前もって確認しておくと安心です。
グローブの着用について
バイクの教習ではグローブの着用が求められることがあります。多くの教習所では普通の軍手で構いませんので、特別なバイク用グローブがない場合には、軍手を事前に用意しておくことをお勧めします。軍手はホームセンターなどで手軽に購入可能です。
しかし、転倒時などの安全性を考慮すると、バイク専用のグローブが望ましいでしょう。将来的にはバイクの運転にはグローブを購入することが一般的なので、可能ならば最初からバイク用グローブを準備することを推奨します。
なお、ごくまれに「大型二輪車は軍手不可」とする教習所も存在します。これは一部の教習所に限られることですが、教習を受ける前にはその点を確認しておくと安心ですね。
靴に関する教習のルール
バイクの教習では以下のような足元に関する規定があります:
- 適切な靴としてスニーカー、ライディングシューズ、ブーツが挙げられます。これらであれば大抵受け入れられます。
- ズボンの裾はブーツの中に収めることが望ましいです。これが難しい場合はガムテープを使って裾が動かないよう固定します。
- ローカットスニーカーは、くるぶしを覆うほどの長さの靴下を履く必要があります。
- 紐付きの靴を着用する場合には、紐が解けないように注意し、必要に応じてテープで固定することが推奨されます。
補足として注意すべき点があります。特に高いヒールを持つファッションブーツは不適切とされています。また、サンダル、クロックスタイルの履物、ハイヒール、ミュール、パンプスのように不安定かつ開放的な履物は、教習中に履くことができません。これはオートマチック車限定の運転免許証を対象とした教習であっても同じです。
バイク教習でのプロテクター着用について
バイクの運転技術を学ぶ際、安全のためプロテクターを身につけることが求められます。幸い、多くの教習所では利用者にプロテクターの貸出しを行っており、あらかじめ自分で用意する必要はありません。
教習所ごとに必要とされるプロテクターの種類や位置に多少の違いがあるものの、一般的には以下の部位に装着します。
- 肘と膝
- 肘、膝加えて胸部、あるいは背中など
ただし、全ての教習生が教習所の提供するプロテクターを使わなければならないわけではありません。プロテクターが内蔵されている専用のジャケットや、持参した個人のプロテクターを使用することが許可されている場合も少なくありません。
大切なのは、教習所が指定する部位に適切にプロテクターを装着することです。規定に従い安全対策をしっかりと行いましょう。
バイク教習における禁止事項と注意点
バイクの技能教習においては、安全な受講が前提です。従って、通常の服装の他に、特定のアイテムの使用が制限されることがあります。具体的に、以下のようなアイテムが対象です。
- サングラスや色付きの眼鏡
- 運転に影響を及ぼす可能性のあるブレスレット
- 長い付け爪
視力補正が必要な場合には、通常のメガネの持参が許されていますし、程々の長さであればネイルアートも許可されています。しかし、運転の妨げになるようなものや、教習所が不適切と判断した場合、残念ながらその日の教習を受けることができなくなってしまいます。
また、施設によってはカラーコンタクトレンズの使用を禁止しているところもあるため、事前に確認することが重要です。
学科教習では自由な服装で参加可能
バイクの教習所で定められている服装の規定は、「技能教習」の際に限られています。これは、実際にオートバイに乗る際の衣服のことを指します。そのため、教習所での学科の授業には、特に規定の服装はなく、皆さまがお好きな服装で出席していただいて構いません。
夏季・冬季のバイク教習に最適な服装ガイド
バイクの技能教習は約1時間のコマで実施されますが、夏季や冬季では服装にも特別な配慮が求められます。夏季は気温が30~35℃に達し、路面温度は40℃を超えることも珍しくありません。加えて、発熱するエンジンに跨がなければならず、長袖や長ズボンが義務付けられています。
夏は「耐える」以外に方法はあまりありませんが、可能な限り風通しのいい、薄手の生地を選ぶと良いでしょう。汗を拭くためのタオルや、教習後の着替えを携帯するのも助けになります。同時に、熱中症予防のための水分補給をしっかりと行うことが重要です。
冬季では寒さが手のかじかみや体の硬直をもたらし、運転技能に悪影響を与えるため、適切な防寒対策が不可欠です。しかし、過度に厚着をして動きを妨げることは避けたいところです。それよりも薄手の服を重ね着して保温力を上げる手法や、ネックウォーマーやカイロを利用することをお勧めします。
(ただし、風でマフラーがバタつくのを防ぐために外すように指導されることもあるので注意が必要です。)
風を遮ることができるアウターを選ぶことも、寒い冬のバイクにおける防寒の要点です。さらに、教習所に通う際は、自前でバイク用グローブを準備しておくことをおすすめします。軍手では寒さを十分に防げず、レバー操作がスムーズに行えなくなる可能性が高いからです。
バイク教習における荷物と貴重品の管理方法
多くの人が日常生活の中でバイクの教習を受けることがあります。仕事や学校を終えた後、またはその合間に教習所に向かうことも少なくないでしょう。そんな時に気になるのは、様々な荷物や貴重品をどう扱うかです。
通常、教習所には以下の選択肢があります。
- ロッカーが設置されている場合
- バイク講習の待機室で保管が可能な場合
カバンや衣類などの一般的な持ち物は問題ありませんが、貴重品の取り扱いには注意が必要です。鍵付きロッカーは安心ですが、鍵の無い場合もあり得ます。また、待合室の利用も安全とは限りません。
携帯電話や財布などを小型のウエストポーチに入れて身に着けておく方法もありますが、教習所によってはそのような持ち物を許可しないこともあるため、できるだけ貴重品を持参しない方が無難です。
しかしながら、スマートフォンや財布といったものはどうしても必要なアイテムです。教習装備の中に収められる場合は良いのですが、そうでない場合も考えられます。よって、事前に教習所の設備や規則についてしっかりと調べておくことが重要です。
ちなみに、私が経験した教習所では、教官が各受講生の貴重品を一つの大きな袋に集めて預かるサービスがありました。これは少し昔の話ですが参考になるかもしれません。
まとめ:バイク用のライディングウェアである必要はないが最低限のルールはある
バイク教習所への初めての足を運ぶ皆さん、専用のライディングウェアは必ずしも揃える必要はありません。たとえば平たく言うならば、個人の日常着で十分に対応可能です。しかしながら、教習を安全に実施する観点から、以下のような基本的な規則は設けられています。
- 袖が長い服装と、丈の長いズボンを着用(肌を露出しないこと)
- サンダルなどの履き物は不可
- ネイルやサングラスなどの装飾品も使用禁止
また、グローブやヘルメットなど、将来バイクに乗る際にも必須となるアイテムは、事前に準備しておくと便利でしょう。