キャブレターの同調がずれると、アイドリングの不安定やレスポンスの低下が起こることがあります。さらに悪化すると、エンジンが始動しない、またはまったく走れなくなることもあります。この記事では、キャブレターの同調がどのようにズレるのか、その状態を修正する方法について詳しく説明しています。
「同調が崩れるとどのような影響があるのか?」、「同調とは一体どのようなものか?」、「同調の取り方を知りたい」と興味を持っている方は、ぜひこの記事をご一読ください。
キャブレター同調が狂うとどうなる?
キャブレターにおける同調の乱れとは、各スロットルバルブ(バタフライ)の位置ズレにより、各気筒が異なるパフォーマンスを示し、エンジン全体でのバランスを失ってしまう状態を指します。
スロットルバルブが位置ズレすると、何が起きるのでしょうか? スロットルバルブの開閉により変動する空気量と燃料量が気筒ごとに異なってしまい、結果として燃焼効率に偏りが生じます。
全ての気筒で同じタイミングと能力で燃焼できないと、エンジンに不均一な負担がかかり、パワーの低下や不調を引き起こす可能性があります。例えば、二人三脚で一方がもう一方に合わせなければスムーズに前に進めないのと同様に、エンジンのスロットルバルブも精確に調整されている必要があります。
同調が取れていない場合、特に低~中回転領域においてアイドリングの不安定や、加速時のスムーズでない上昇、回転数の落ちが鈍いなどのサインが見られることが一般的です。
特に低回転領域で問題が見られるのは、スロットルバルブがほんのわずかに開いた状態では気筒同士の差が顕著になるためです。一方で、高回転領域では気筒間のパフォーマンスの差があまり重要ではなくなるため、問題が目立たなくなる傾向があります。
スロットルバルブの調整方法
スロットルバルブ、別名バタフライは、各キャブレターの間に設置されている同期ネジを調整することで適切に合わせることが可能です。2連キャブなら1つ、4連キャブなら3つの同調ネジがございます。透過光やシクネスゲージを使用して開度をチェックしながら、同調ネジの締め具合を調整してばらつきを無くしましょう。
微調整を行いながら動作を確認し、アジャストスクリューを活用すれば比較的容易に調整が可能です。しかし、これだけでは同調は完全ではありません。キャブレター各々が適切に調整されていたとしても、圧縮が不揃いであったり、二次エアを吸い込んでいる場合には、それぞれの気筒が協力しきれずにパフォーマンスを低下させることになります。
エンジンそれぞれにも個体差があるため、エンジンの特性に合わせた同調作業が必要となります。もしエンジンのばらつきが少ないのであれば、目で見て行う調整作業だけで同調を取ることも不可能ではありませんが、実際のエンジンの状況に応じた精密な同調を行う場合は、バキュームゲージと呼ばれる負圧計を使うのが一般的です。
バキュームゲージを使用した同調作業
バキュームゲージは、エンジンがそれぞれのシリンダーで生じさせている負圧を計測するための器具です。エンジンを作動させた状態でこのゲージを使って測定を行い、スロットルバルブを適切に調整することにより、燃焼時のばらつきを均一にすることが可能となります。各気筒に対し1個ずつ接続して使用し、価格は一個あたり2,000円から3,000円程度です。4気筒用のバキュームゲージの場合、価格は約1万円から2万円の範囲です。
もしお金を節約したいと考えているなら、作業の手間は増えますが、三又ジョイントとコックを用意することによって、たった一つのゲージを使い各シリンダーを同調させることもできます。
エンジン同調の大切さについての要約
エンジンの同調とは、それぞれのスロットルバルブの開度が適正に揃い、気筒間のバランスが整っている状態のことを指します。同調が乱れると、主に低回転時にエンジンの調子が悪化し、不具合が見られやすくなりますが、高回転時の影響はそれほど大きくありません。
同調を整える際は、バキュームゲージを使用してエンジンに適した調整を行う必要があります。同調が乱れた状態で走行を続けてしまうと、エンジンの調子が悪くなるだけでなく、エンジン自体にも不必要な負荷をかけてしまうため、「何かエンジンの調子がおかしいな」と感じたら、まずは点検を行うことをお勧めします。
同調の調整方法につきましては、当サイトにて詳しく解説しておりますので、是非、ご一読ください。ご覧いただき、誠にありがとうございました。