ボルト折れというのは、メカニックの仕事をしていると避けられない問題のひとつですね。面倒なボルトの折れ問題も、慣れてしまえば手早く対応できるようになるものです。
この記事では、ボルト折れで困っている方へ向けて、理解しやすいように詳しく説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
エキストラクターの使い方は?
エキストラクター(逆タップ)について
エキストラクター、別名逆タップは、ボルトの頭部が壊れた際に活用する特殊な工具として知られています。この道具はテーパー形状をしており、左回りのねじ切りが施されています。
このテーパー形状と左回りのねじによって、工具がしっかりと食い込むことでボルトを抜き取ることが出来るようになっているのが特徴です。
エキストラクターの正しい使用法
エキストラクターの操作は非常に簡単です。まずはボルトに下穴を開け、次にその下穴へエキストラクターを差し込んで回転させるだけで使用できます。
エキストラクター利用時の要注意ポイント
エキストラクターを使用する際は非常に便利な道具ですが、正しく使わないと、かえって面倒な事態を引き起こすことがあります。そのために留意すべき重要なポイントが三つあります。
- 下穴のサイズを誤らないこと
- 下穴はなるべく真ん中に開けて、ネジを傷つけないように注意すること
- エキストラクターの刃がしっかりと食いつくように、押し込みつつ回転させること
下穴の適切なサイズに気を配ることは非常に大切です。サイズが小さ過ぎるとエキストラクターが破損する原因になりますし、大き過ぎるとネジ自体が損傷を受けてしまう可能性があります。下穴のサイズはメーカーによって多少の違いがございますが、あまり神経質にならずとも通常は問題ありません。とはいえ、ネジ自体に損傷を与えないよう慎重な作業を心掛ける必要があります。
加えて、エキストラクターを押し込みながら回す理由についてですが、これはエキストラクターがテーパー形状をしているため、適切に力を加えながら回す必要があるからです。もし、一度空回りしてしまうと、刃が食いつきづらくなってしまいますので、その点も注意が必要です。
ボルトを外す手順
1. 下穴の開始作業
作業開始時にはセンターポンチを利用して、ボルトの中心に予め穴を開けておきます。その深さは、エキストラクターをしっかりと固定できる程度で十分です。
2.ボルトの抜き取り
適切なサイズのエキストラクターを穴に打ち込みます。圧力をかけながら、ゆっくりと左方向に回転させてください。
3.清掃とタップの加工
折れてしまったボルトを取り除いた後には、ちゃんと清掃してからタップを新しく加工します。タップの作成方法については、別の記事で詳細を解説しておりますので、そちらをご覧ください。
エキストラクターがない状況でボルトを抜く方法
ここで、エキストラクターが手元にない状況でのボルトの抜き方をお伝えします。運良く抜けたらラッキーという心持ちで試してみてください。
プライヤーを使ってボルトを把握する方法
もしネジの部分がなお残っている状態ならば、多くの人がプライヤーやペンチを使うことを考えるでしょう。それは確かに効果がある方法です。
特に力をしっかりと加えることができるウォーターポンププライヤーやハンドバイスプライヤーといった種類は非常におすすめです。
センターポンチとマイナスドライバーを使う方法
今回試す手法は、センターポンチとマイナスドライバーを使用して緩める方法です。ネジの残りの部分を緩める方向に向けて、粘り強く叩き続けましょう。一見すると原始的な方法かもしれませんが、少しでも動きがあれば、ネジが取り外せる可能性は大いに高まります。
ショックドライバーを使用するための下穴開け
ショックドライバーを効率的に使用するためには、適切なサイズの下穴を開けることが大切です。下穴をあけることで、ショックドライバーがしっかりとかかります。
ショックドライバーを差し込む前に、貫通ドライバーで予め溝を作成しておくのもお勧めです。これにより、作業の手間を省き、よりスムーズにショックドライバーを使うことが可能になります。
ボルト折れに対応するための工具一覧
ボルトが折れた場合に対処するために必要な工具のリストを紹介します。
- センターポンチ
- ドリル
- キリ
- エキストラクター
- ハンマー
- タップ
- ペンチ
上記リストの中でも特にドリル・キリ・エキストラクター・ハンマーの4つの工具は絶対に欠かせません。それ以外の工具はあれば作業効率が上がるため、可能な限り用意しておくと良いでしょう。
ボルトの折損の多様な要因
ボルトが折れるという事態は、さまざまな理由によって引き起こされます。その主な例として、過度の緊張によってボルトが伸びきってしまうケースや、経年劣化、異物が噛み込んでネジ山が潰れる事象が挙げられます。
また、あるときボルトを取り外そうとしたら、すでに固着しており動かなかったり、ほんのわずかな力で操作しただけで断裂したりすることもあります。
最後に
これにてボルトを取り外す手順の説明を終えます。下穴を適切に開けることができれば、作業はあっという間に完了します。ぜひ試してみてください。最後までご覧いただき、感謝申し上げます。