バイクの購入を考える際、多くの方が気になるのがその重量です。バイクの重さは、操縦性や安全性にも関わってくるため、重視されるポイントの一つです。重さがあるバイクは、まさに日常の取り回しに手間がかかり、転倒するリスクも高まることが想定されます。
しかしながら、バイクと一言で言っても、50ccの原付スクーターから1000cc超の大型バイクに至るまで、その種類は多岐にわたります。そこで、この記事では「バイクの重さ」に関して詳しくご紹介していきます。
- 排気量によるバイクの平均的な重量目安
- 乾燥重量と装備重量の違いについて
- バイクが重い場合に考えられる影響
それでは、以下に掲載されている情報をもとに、バイクの重量について深く掘り下げていきましょう。
バイクの重さには3種類ある
バイクの重量は一般的に「車両重量」と呼ばれます。この車両重量を示す際には、3つの異なる指標が存在しますので、それぞれの違いについて理解しておくことが重要です。
- 乾燥重量
- 装備重量
- 車両総重量
以下にそれぞれの定義について詳しくご説明します。
オートバイの乾燥重量とは
乾燥重量とは、オートバイが燃料やエンジンオイル、バッテリーの電解液、冷却液などを含んでいない完全に空の状態で計測される重量を指します。2008年6月以前には、オートバイのカタログ等で車両の重さを示す際に、一般的にこの乾燥重量が用いられていました。しかし、燃料やオイルなどが何も充填されていない状態の重量は実用上の指標としてあまり意味をなさないため、現在ではその表示方法は古いものとされています。
バイクの装備重量について
バイクの装備重量とは、燃料タンクに満タンのガソリンが入れられ、オイルやバッテリー液、冷却水なども適切に補充された状態におけるバイクの重さを指します。すなわち、この重量は即時に走行可能な状態のバイクの実質的な重量だということができます。
タンクの容量にも依存しますが、ガソリンを満タンにし、オイルなども満遍なく充填すれば、乾燥重量に比べて15キログラム以上の重量増となる場合も少なくありません。装備重量は、バイクの実際の重さをより正確に反映する数値と見なされています。
このため、2008年6月を境に、従前の乾燥重量に替えて、新車のカタログスペック等では装備重量の表示が一般的となりました。ただし、これは日本国内のメーカーによる規定であり、輸入車においては依然として乾燥重量が表記されるケースが存在します。
バイクの車両総重量について
バイクの車両総重量とは、装備重量に加えて運転者の重量も含めた総合計の重さを指します。日本のメーカーでは、運転者の重量として標準的に55キログラムが想定されて計算されることが一般的です。
バイクの重さとは? 排気量別の平均的な重量
バイクの重さは一体どの程度なのでしょうか。排気量が同じでもバイクのタイプによって重さには大幅な違いが存在します。以下では、概略として現行モデルの重量の目安をいくつかご紹介することにしましょう。参考値は全てメーカーから公表されている装備重量に基づいています。
50ccバイクの重量について
日々の移動や通勤・通学用として、50ccバイクの利用者は多いです。主にスクーターやカブのようなビジネスバイクが多く見られます。
例えば、以下のようなホンダ製のバイクがあります:
- ホンダ:タクト・・・79kg
- ホンダ:スーパーカブ50・・・96kg
- ホンダ:ジャイロキャノピー・・・139kg
50ccバイクは比較的軽量のため、女性も取り扱いやすいです。ほとんどの50ccバイクの重量は100kgを下回ると考えられます。ただし、ジャイロキャノピーのように屋根がついている配送用バイクは重さが例外的に重いです。
125ccクラスのバイクの重量
125ccクラスのバイクというと、およそ100キログラムを超える重さが一般的です。以下、主なモデルとその重量を紹介します。
メーカー | モデル | 重量 |
---|---|---|
ホンダ | PCX125 | 130kg |
スズキ | GSX-R125 | 134kg |
ヤマハ | トリシティ125 | 159kg |
ホンダのPCXはスクータータイプであり、スズキのGSX-Rはシフト操作が必要なミッション車ですが、重量に大きな差はみられません。一方、ヤマハのトリシティは3輪バイクであり、それが影響してか、他の二輪バイクより重いです。
250ccのバイクの重量について
250ccクラスのバイクの重量は、メーカーや車種によって異なりますが、おおむね150kgを超えるものが多いようです。例えば、以下のような車種があります。
メーカー | 車種 | 重量 |
---|---|---|
ヤマハ | セロー | 133kg |
ヤマハ | YZF-R25 | 167kg |
カワサキ | ニンジャ250 | 166kg |
ホンダ | レブル250 | 168kg |
中でもヤマハのセローは133kgと軽量です。オフロード向けのバイクは軽い傾向にあることが伺えます。
400ccクラスのバイクの質量はどの程度?
400ccクラスのバイクというと、一般的には200キログラム前後の重さがあります。例えば、以下のような車種が知られています。
表は、それぞれのバイクの質量を示しています
メーカー | 車種 | 質量 |
---|---|---|
ホンダ | CB400SuperFour | 201㎏ |
ホンダ | CBR400R | 192㎏ |
スズキ | バーグマン400 | 215㎏ |
ヤマハ | SR400 | 175㎏ |
例えば、教習所でよく使用されるホンダのCB400SuperFourは201キログラムです。ただし、教習所で使用されるバイクは、エンジンガードや追加のランプなど、多くの付属品が装着されているため、実際にはもう少し重くなる傾向があります。
一方で、デザインがシンプルなヤマハのSR400は、400ccクラスの中では比較的軽量であると言えます。
750ccクラスのバイクの重量について
- ホンダ NC750X 221kg
- スズキ GSX-S750 212kg
- ヤマハ XSR700 186kg
- カワサキ W800 226kg
750ccクラスのバイクは数が少なく、700ccや800ccクラスも比較対象に含まれています。思っていたよりも400ccクラスのバイクとの重量差は少ない印象です。車種によって違いがあるものの、特に注目されているネオクラシックスタイルの「XSR700」は、CB400SuperFourよりも軽量であることに驚かされます。
1000㏄以上のバイクの重量について
バイクの排気量が1000㏄を超えると、その重量はさまざまです。例えば、
メーカー | 車種 | 排気量 | 重量 |
---|---|---|---|
ホンダ | GOLDWING | 1800㏄ | 365㎏ |
ヤマハ | FJR1300 | 1300㏄ | 296㎏ |
ホンダ | アフリカツイン | 1100㏄ | 238㎏ |
スズキ | Vストローム | 1000㏄ | 233㎏ |
スズキ | カタナ | 1000㏄ | 215㎏ |
カワサキ | ZX-10R | 1000㏄ | 206㎏ |
ホンダ | CBR1000RR | 1000㏄ | 196㎏ |
排気量による違いはあるものの、クルーザーやツアラーといったタイプは一般的に重い傾向にあります。その次にはアドベンチャー系が位置づけられるでしょう。スーパースポーツなどのスポーツバイクは軽量化に注力されていることが多いです。
この区分は排気量が広範にわたるため、参考程度に留めておくと良いでしょう。気になるバイクがあれば、各メーカーのホームページで詳細情報を確認できます。
バイクの重さのメリットについて
バイクを選ぶ際、重さは気になるポイントの一つです。一体、バイクの軽さや重さは乗り心地や性能にどのような影響を及ぼすのでしょうか。以下は、バイクの重さに関する一般的なメリットを紹介します。
軽量バイクのメリット
- 加速が容易になる
- 減速がスムーズに行える
- カーブを曲がるのが容易
- 燃費が向上する
- 取り回しが簡単
- 転倒した際、起こしやすい
これらを見ると、軽量バイクの方が様々な点で便利であると考えられます。
重量バイクのメリット
- 横風に強い
- 失速しにくい
- 直進安定性が高い
- 多様な装備の搭載が可能
重量のあるバイクにも、確固たるメリットが存在します。
結局のところ、バイクの軽重は使用場面に合わせた個性と捉え、それぞれの乗り方に適したバイクを選ぶことが最も重要です。また、取り回しのしやすさは重心(バランス)によって大きく左右されるため、見た目の重さだけが全てではありません。
自分に合ったバイクを見つけるためには、実際にバイクショップで体験してみるのがおすすめです。
バイクの重量に関する概要
バイクの重量を表す用語には、乾燥重量、装備重量、車両総重量といった種類があります。日本のバイクメーカーでは、製品のスペック表記において装備重量を採用することが一般的です。この装備重量は、実際にバイクを運転する際の重量に最も近い数値とされています。
- 乾燥重量、装備重量、車両総重量の3種類がバイクの重量を示す指標です。
- 国産のバイクメーカー群は、製品仕様の表示に装備重量を用いています。
- 装備重量は、実際の運用時のバイク重量に最も近いと言われています。