ここでは、2014年4月モデルのCBR250Rに搭載されている6段のマニュアルトランスミッションにおけるギア比(歯輪比、減速比)や駆動力やエンジンの回転数、そして最高速度との関連性について、シミュレーションを通じて解説します。
CBR250Rの最高速は?ギヤ比がもたらす加速性能との秘密
MC41型CBR250Rの変速機は、レシオカバレッジが3.291と設定されており、燃費、最高速度、そして巡航時のエンジン回転数を重視した長めの設定となっている六段マニュアルトランスミッションが採用されています。速度の変動を見てみると、一速(ギヤ比3.416)の最高速度は時速43.2キロから始まり、最も長い六速(ギヤ比1.038)における最高速度は時速142.2キロに達し、その間の速度差は99.0キロメートルとなっています。速度は他の4つの段階のギヤを使用して徐々に引き上げられるわけです。
ギヤ比の一覧における〔〕内に記された数値は、それぞれのギヤ比に一次減速比2.807、二次減速比2.571を乗じた総減速比を示しています。さらに、シフトアップの回転数について、一速で9000rpmまで回し、次に二速にシフトアップすると、一速と二速のステップ比が0.659であるため、回転数が9000rpmから5930rpmまで落ちることを説明しています。もしステップ比が大きく、回転数が落ちすぎてしまいパワーバンドから外れ過ぎる場合は、9000rpm以上に回し続けることで加速感が向上するでしょう。逆に、回転数がそこまで落ちない場合は、早い段階でのシフトアップが加速に貢献するとも言えます。
最高出力が9000rpmで得られる場合、六速ギヤのギヤ比1.038では時速142.2キロに達し、100キロメートル走行時の回転数は6330rpmとなります。時速142.2キロは法律的な問題もある速度なので、高速道路を問題なく運転はできますが、運転者自身の精神力にも制限をかける必要がありそうです。さらに、最高出力が得られる回転数の半分より少し上の回転数で時速100キロが出られるので、高速道路で「もう一段上のギヤがあれば」と感じることもあるかもしれません。
ギヤ | ギヤ比 | 総減速比 | 最高速(km/h) |
---|---|---|---|
1速 | 3.416 | 24.653 | 43.2 |
2速 | 2.250 | 16.238 | 65.6 |
3速 | 1.650 | 11.908 | 89.5 |
4速 | 1.350 | 9.743 | 109.3 |
5速 | 1.1667.491 | 8.415 | 126.6 |
6速 | 1.038 | 142.2 |
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巡航時の回転数を簡単に下げる方法としては、タイヤの外径を大きくするか、フロントスプロケットを14丁から歯数を増やすか、もしくはリヤスプロケットの歯数を36丁以下に減らす方法があります。
レブリミットと最高速度|9000rpmを超えた速度域
最高速度を決定する主な要素は最高出力ですが、このほかにもギヤ比やタイヤの直径、エンジンの回転数なども考慮しなければ完全な理解には至りません。
エンジンのレブリミット、つまりどの回転数までエンジンが回るかについては、エンジンの種類や制御の方法によって異なります。したがって、ここでは簡単のため、最高出力を発揮する9000rpmを基準に、10%増の9900rpm、20%増の10800rpm、30%増の11700rpmまでエンジンを回転させた場合の速度を一覧表として示しています。
7500rpmは最大トルク発生回転数を示しています。
なお、エンジンのレブリミットは最高出力発生の9000rpmよりもわずかに高く設定されることが多いですが、9000rpmをピークに出力は下降線をたどるため、9000rpmを超えての加速は保証されません。
実際の最高速度は車両の走行抵抗とエンジン出力がバランスする点で決まります。
オレンジ色で表示された部分は、それぞれの回転数でのピストンの平均速度を示しています。この速度はエンジンの回転数の上限に影響を与える要因の一つで、9000rpmで16.50m/s、そして回転数の増加によって11700rpmでは21.4m/sに達します。
回転数(rpm) | 平均ピストンスピード(m/s) | 速度(km/h) |
---|---|---|
7500 | 13.8 | 118.5 |
9000 | 16.5 | 142.2 |
9900 | 18.1 | 156.4 |
10800 | 19.8 | 170.7 |
11700 | 21.4 | 184.9 |
通常走行時の各ギアにおけるエンジン回転数
自動車の走行において、1速から6速までのギアを使用した際のエンジンの回転数を各速度において見ていきます。
6速ギアでは、40km/hの速さで車を走らせるとエンジンは毎分2530回転し、60km/hでは3800回転となります。一般的な高速道路走行で想定される80km/hの速度では回転数が5060回転に達し、さらに100km/hでは6330回転、最高速度が120km/hに設定されている区間を走る際には7590回転とエンジンは回転します。
特筆すべきは、エンジンの最大出力やギア比が影響して、達成可能な最高速度は車種によって異なる点です。なお、スピードリミッターが作動する180km/hではエンジンは11390回転をし、特定の車種に限定されますが、300km/hでの走行はエンジンを18990回転させることになります。
ギヤ | 40km/h(rpm) | 60km/h(rpm) | 80km/h(rpm) | 100km/h(rpm) | 120km/h(rpm) |
---|---|---|---|---|---|
1速 | 8330 | 12500 | – | – | – |
2速 | 5490 | 8230 | 10970 | 13720 | 16460 |
3速 | 4020 | 6040 | 8050 | 10060 | 12070 |
4速 | 3290 | 4940 | 6580 | 8230 | 9880 |
5速 | 2840 | 4270 | 5690 | 7110 | 8530 |
6速 | 2530 | 3800 | 5060 | 6330 | 7590 |
7500rpmと9000rpmの駆動力とトルクウェイトレシオについて
エンジンが生成する最大トルク2.4kgmは、ギアチェンジを通じて減速を行うことで、かけ算ゲームのように増幅され、最終的には初めの数十倍、数百倍へと跳ね上がります。
例えば、1速のギアにおいて、エンジン軸のトルク2.4kgmが1速ギアで3.416倍増し、更に一次減速比、二次減速比を経て7.217倍増となり、これをタイヤ半径で割ることで、最終的な駆動力は188.4kgmに到達します。
このエンジンは9000rpmで29PSを生み出すため、その時の軸トルクは2.3kgmとなり、同じ計算法で求めると、最終的な駆動力は180.6kgmとなります。
基本的に、この数値が大きければ大きいほど、地面を蹴り進む力が強まるわけで、7500rpmと9000rpmでの差が小さいほど、高回転領域でトルクが落ちにくく、加速感が維持されやすいと言えます。
括弧内の数値は、最大トルクを発生した時点(2.4kgm/7500rpm)における、各ギアの駆動力を、車重161kgで割ったトルクウェイトレシオを表しており、最小で1速ギアが0.85kg/kgmとなっています。
0.85kg/kgmという数はバイクの平均的な数値ですが、思い立ったら息をのむほどの爽快なスタートダッシュを体験できる可能性があります。
一方で、自動車に関するサイトで集計された1速ギアのTWR平均値は1.60kg/kgmであり、少なくとも1速ギアの範囲内では、一般的な自動車には敵わないと考えられます。
ギヤ | 7500rpm駆動力(kgm) | 9000rpm駆動力(kgm) | TWR(7500rpm) | TWR(9000rpm) |
---|---|---|---|---|
1速 | 188.4 | 180.6 | 0.85 | 0.89 |
2速 | 124.1 | 118.9 | 1.30 | 1.35 |
3速 | 91.0 | 87.2 | 1.77 | 1.85 |
4速 | 74.5 | 71.4 | 2.16 | 2.25 |
5速 | 64.3 | 61.6 | 2.50 | 2.61 |
6速 | 57.3 | 54.9 | 2.81 | 2.93 |
前後スプロケットと加速力および最高速の熱烈な関係
バイクのパフォーマンスを左右する重要な要素として前後スプロケットの歯数のバランスが挙げられます。今回は具体的な部品の有無や装着の可否を問わず、前後のスプロケットの歯数を変更した場合における、時速100kmにおけるエンジンの回転数、最大ギヤ比時の9000rpmで達する速度、および1速ギヤで生み出される最大の駆動力の変動について探求していきましょう。
フロントスプロケットの変更とその影響
MC41型CBR250Rにおけるフロントスプロケットの規格は14丁であるが、これを11丁から17丁へ変更した際の結果について探求した。
標準装備されている14丁の場合、時速100km走行時のエンジン回転数は6330rpm、9000rpmの際の速度は142.2km/hであり、最大の駆動力は188.4kgmと記録される。
11丁へと減少させた際にはギヤ比が低下する方向へ変動し、エンジン回転数は8060rpmへ増加、逆に速度は111.7km/hに降下し、最大駆動力は239.9kgmまで上昇する。これにより、最高速力を犠牲にして加速力を強化するという結果になる。
逆にスプロケットを3丁増加させるとギヤ比が高まる方向へ傾き、エンジン回転数は5210rpmへ減少し、速度は172.6km/hに上昇、最大駆動力は155.2kgmまで低くなる。この場合は、加速力を犠牲にして最高速力を向上させる形となる。
また、巡航時の回転数が下がり、最高速が向上するため燃費効率が良くなる可能性がある。しかしながら、エンジンの特性や出力に見合わないギヤ比を誤って選択してしまうと、発進時の動力不足により著しい遅さをもたらすリスクがあることに注意を要する。
スプロケット | 歯数 | 100km/h回転数(rpm) | 最高速(km/h) | 最大駆動力(kgm) |
---|---|---|---|---|
フロント11丁 | 11 | 8060 | 111.7 | 239.9 |
フロント14丁 | 14 | 6330 | 142.2 | 188.4 |
リヤ34丁 | 34 | 5800 | 155.1 | 172.7 |
リヤ38丁 | 38 | 6680 | 134.7 | 198.9 |
リアスプロケットの変更効果について
バイクのリアスプロケット、すなわち後輪スプロケットの歯の数を変えると、走行性能にどのような影響が出るのかを考察します。例えば、標準搭載されている36丁のスプロケットから歯数を変えると、その影響はどうなるでしょうか。後輪スプロケットは、歯数を減少させるほど、ギア比が高くなり最高速度が向上します。一方、歯数を増やすとギア比が低くなり、加速力が強まるのです。
なお、リアスプロケットの歯数の変更は、フロントスプロケットのそれと比べると、劇的な変化はもたらさないことに注意が必要です。フロントスプロケットを13丁にして加速を求めるか、15丁にして最高速度を求めるかといった大枠の選択を先に行い、リアスプロケットの微調整で走行性能を整える方法もありますし、フロントスプロケットを変更せずにリアだけで走行特性を変えるといった方法もあるでしょう。スプロケット選びは、バイクに対する期待と夢が膨らむだけに、慎重に検討するべきです。
※スプロケットの歯数を変更する際には、車両によってスピードメーターに誤差が生じる可能性があるため、注意が必要です。無闇にいじりすぎると、メーターの誤差が原因で速度違反になる恐れがあるため、注意してください。
主要スペック一覧|CBR250Rの基本情報
項目 | スペック |
---|---|
エンジンタイプ | 単気筒、4ストローク、水冷 |
排気量 | 249cc |
トランスミッション | 6速MT(レシオ3.291) |
燃費 | 32.1km/L |
車両価格 | 49.9万円 |