バイクはその取り回しやすさから多くの人々に愛されていますが、荷物を多く積む際には限界があります。アウトドア活動や長距離旅行時には荷物の量が増えがちですが、その際、積載量をどれだけにするかは非常に重要なポイントです。
日本の道路を走っていると、信じられない量の荷物を積んでいるバイクを目にすることもありますが、そうした場合の法律上の規制はどうなっているのでしょうか。ここでは、バイクの積載規制について、特に以下の点を重点的に解説しています。
- バイクの荷物の積載制限
- 50ccの原付バイクの積載制限
- 違反時の罰則
バイクの積載の法律的な上限は?
バイクに乗せる荷物の量には、想像以上に細かいルールが存在しています。すべての荷物を積み込んでも大丈夫だと考えがちですが、それは誤りです。
「道路交通法施行令」という法規によって、積載量に関する制限が定められています。このルールはバイクに限らず、自動車や原付きなども対象となっています。
積載量を規定以上にして公道を走行する行為は違反とみなされるため、注意が必要です。積載制限の詳細は、道路交通法施行令における「自動車の乗車又は積載の制限」に記載されており、以下の項目で規定されています。
- 乗車人数
- 長さ・幅・高さ
- 重量
乗車人数に関する部分は今回は割愛しますが、「長さ・幅・高さ」と「重量」に関しては、次に詳しく見ていきたいと思います。
バイクの積載制限【高さ・幅・長さ】
道路交通法施行令に基づくと、積載に関する規定があり、その内容はやや複雑です。以下では、詳細な条文は割愛し、バイクの積載制限に関する要点を簡単に説明いたします。
- 積載物の長さはバイクの乗車装置や積載装置の長さに加えて30cmまで可能。
- 積載物の幅はバイクの乗車装置や積載装置の幅に加えて30cmまで許容される。
- 積載する物品の高さは地上からの高さで2メートル以内と定められている。
- 積載方法にも制限があり、バイクの前後から30cm、左右から15cm以内に収める必要がある。
このように、バイクでの物の運搬時には、いくつかのルールを守る必要があります。積載物の大きさや位置を適切に管理することで、安全な運搬が可能となります。
乗車装置と積載装置について解説
一般には少々難解とされる法律用語について、ここでは平易な言葉で説明します。まず、「乗車装置」と聞いてピンとこないかもしれませんが、これはオートバイに例えるならば、シートや足を置くステップなどを指す言葉です。次に「積載装置」とは、一般的な言葉でいう荷物を載せるキャリアのことを指します。
要は、ツーリングバッグなどを取り付ける際、シートやキャリアから30センチメートル以上外側に突出してしまうと、それは規定違反となるということを意味しています。
積載における「物」の寸法と「方法」の区別
積載する物の幅には、30cmの制限が設けられています。しかし、具体的な積載方法に目を向けると、「左右それぞれ15cmを超えてはならない」という規定があります。
たとえば、積載物の幅が30cm以内であっても、積載物がキャリアから左側に5cm、右側に25cmはみ出して積まれていた場合、この規定に反しているとされてしまうのです。
パニアケースやサイドバックは積載装置に分類されるのか
一般に「キャリア」とは積載装置を表す用語なのは理解しやすいですが、問題は次のアイテムに関してです:
- パニアケース(サイドケース)
- サイドバック
- トップケース
これらは積載装置に含まれるのでしょうか、それとも積載物と見なされるのでしょうか。結論を先に申し上げますと、サイドバックやパニアケースなどは積載装置に該当します。
道路運送車両の保安基準には、「物品積載装置は、堅固で、かつ、安全かつ確実に物品を積載できる構造であること」との記述があるだけで、具体的な定義は存在しません。
そのため、耐久性が高く、安定して物品を積載できるアイテムであれば、積載装置とみなすことができます。
パニアケースやサイドバックが単なる積載物であるという立場を取ると、メーカー主導で片側に15cmを超える幅の製品を製造することはできないことになってしまいます。しかし実際には、各バイクメーカーの公式オプション品の中には片側15cmを超える幅を持った製品が多数存在しています。
よって、パニアやサイドバックなどは積載物ではなく、積載装置として扱うのが妥当であるという結論に至ります。
バイクのサイドバッグやパニアケース、構造変更は必要か?
バイクに取り付けるサイドバッグやパニアケース、トップケースなどのアクセサリーについて、うっかり構造変更の必要性を心配する声がありますが、安心してください。車検証には本来のバイクのサイズが記入されていますが、これらのアクセサリーを取り付けた際のサイズの変更は、特別な処置を必要としません。
実は、サイドバッグやパニアケースなどは「指定部品」とみなされ、「車体まわり、手荷物を運搬するための部品」として認識されているため、これらを付けた状態で車体のサイズが変わったとしても、構造変更の手続きをする必要はありません。バイクの長さ・幅・高さ・重量などが基準値を超えても、構造変更の対象外となります。
つまり、BOXやサイドバッグ、パニアケース等を取り付けることによる車検への影響はありません。ただし、溶接やリベットで永久的に固定するような場合には、構造変更をしなければならないので注意が必要です。
バイクの積載制限【重量】
バイクにおける積載の最大容量について詳しく見ていきましょう。先述した通り、積載サイズの増加に伴い、重量制限に関する情報も重要です。日本国内において、道路交通法の施行令では積載可能な重さに関しても規定が存在します。
具体的に言えば、バイクに積み込める荷物の重量は、最大で60キログラムまでとされています。実際に60キログラムを超える荷物を積んで運ぶことは少ないかもしれませんが、法的な制約として知っておくことは有用です。
125ccバイクの積載制限について
日本の道路交通法施行令によれば、積載制限は以下のように規定されています:
- 原動機付自転車
- 普通自動二輪車と大型自動二輪車
重要なのは、法律上での分類で「原付」とは50cc以下の車両を指す点です。一方で51cc以上、例えば90ccや125ccのオートバイは普通自動二輪車に分類されます。道路運送車両法と紛らわしいですが、ここではしっかりと区分けを理解しておく必要があります。
つまり、125ccのオートバイに関しては、「普通二輪車」としての積載制限が適応されることになります。
原付(50㏄)の積載制限について
50cc以下の原付バイクにおける積載の基準は、以下の通り定められています。
- 積載物の長さは、バイクの積載装置から30センチメートルを超えてはならない
- 幅に関しても、積載装置から30センチメートルの範囲内であること
- 高さは、積み込んだ荷物が地面から2メートル以内であること
- 積載方法は、30センチメートル前後、15センチメートル左右が限度
- 重さは、最大で30キログラムまでとされている
大まかな規定は他の車種と変わりませんが、積載可能な重量に関しては半分に制限されています。なお、リアカーを牽引する際には、これとは別の規則が適用されることに注意が必要です。
積載時に避けるべき違反事項
荷物の積載に際しては注意が重要です。単に積載の規定を遵守するだけでは十分ではなく、運転の安全にも影響を及ぼしてはなりません。具体的には、次のような状況を避ける必要があります。
- 運転者の視野を遮ることによって運転が困難になる状態
- ハンドルや他の操縦装置の操作が困難になる積荷
- 後方視鏡が使えなくなること
- 車両のバランスが損なわれる積載
- 外部から車両のウインカー、ナンバープレート、ブレーキライト、テールライト、後部反射器が認識不可能になるような状態
これらは積載時に起こる可能性のある禁止事項です。特に、後部周辺のテールライトやナンバープレート、ウインカー等が隠れて見えなくなると、交通違反になる恐れがあるため注意が必要です。
バイクの積載違反の罰則について
バイクで荷物を積んで公道を走行する際には、積載制限を守ることが法律で定められています。もし積載制限を超えたり、荷物の積み方が不適切だと違反となり得ます。
違反にあたる行為としては以下のようなものが挙げられます。
- 積載物の大きさが制限を超えた場合の違反
- 荷物の積み方が適切でないことによる違反
これらの違反には共通して、違反点数1点、反則金6,000円(50ccバイクの場合は5,000円)が科されます。
なお、積載物が落ちてしまうと、それが原因で事故を引き起こしたり他人に危害を与えたりする恐れがあるため、更に重い「転落積載物等危険防止処置義務違反」として扱われることもあります。
積載の基本ルール要約
バイクでの積載にはいくつかの制約があります。このポイントを押さえつつ、安全に荷物を運びましょう。
- バイクの積載可能範囲は限られています
- 荷物の長さはバイクの乗車装置や積載装置よりも長くても30cm以内
- 荷物の幅も乗車装置や積載装置を基準にして、30cmまでの範囲
- 荷物の高さは地面から2メートル以内に収める必要があります
- 積載する際には、装置の前後30cm、左右15cm以内に留めることが大切
- 積載重量は最大でも30キログラムまで(50ccの小型バイクは20キログラムまで)
- ナンバープレートやウインカーが隠れてしまう積載は不可
バイクというと荷物を積むことに否定的な見方がされがちですが、実は適切な方法で荷物を積むことには、満足感や楽しさを感じることもあります。
しかし、何よりも重要なのは積載に関するルールを遵守することです。荷物が多いとバイクのバランスを崩しやすくなるため、安全運転を心掛けることが重要になります。