「200ccバイクを使って高速道路を走るのは大変ですか?」という質問を受けることがあります。明確に申し上げると、かなり厳しいです。実際私自身、200ccから1000ccに至るまでいろいろな排気量のバイクで高速道路を走った経験がありますが、200ccでの高速利用は推薦できるものではありません。
しかし、勘違いしないでいただきたいのは、「200ccだと高速道路に絶対に乗れない」という意味ではありません。とはいえ、なぜ200ccでは高速を推奨しないのか、また高速道路を走る際に注意すべき点について、説明していきたいと思います。
200ccのバイクで高速はきつい?パワーが足りない問題点
最初に取り上げるべきポイントは、パワー不足に関する課題です。通常の道路においては、静止状態から時速60キロメートルに加速することで、合流やレーンの変更は比較的容易にこなせるでしょう。200ccクラスのバイクであれば、十分に対応可能なレベルです。
ところが、高速道路で同様の操作を行う場合は、80〜100キロメートル時速で走行している他車とスムーズに合流する必要があり、この際には一般道路ではあまり経験することのない加速パフォーマンスが求められます。
ETC非搭載のバイクである場合、停車している状態から発進し、限られた加速レーンで時速100キロメートルまで速度を上げる必要が出てくることもあります。サーキット走行やジムカーナなどを日常的に楽しむライダーであれば、全開アクセルに抵抗感や恐怖心を感じることは少ないかもしれませんが、それは稀なケースでしょう。
加速に必死になりすぎてしまうことで、周囲の状況を把握することが困難になり、結果的に事故を引き起こす危険性も高まります。
私自身も250ccバイクで高速道路を走る際に、流れに乗れている時はパワー不足をそれほど感じることはありませんでした。しかし、合流や進路変更の瞬間に、「もう少しパワーがあったらここまで必死になる必要はない」としばしば感じることがありました。
特に進路変更時はパワー不足を痛感しました。高速道路の右車線を利用するドライバーは、ほとんどが時速100キロメートル以上で走行しています。それに対して時速80キロメートル程度で合流すると、後続車から追突の恐れや煽られる危険があります。そのため、スピードを上げながら車線変更をする必要があるのですが、250ccバイクでは加速に時間がかかるため、タイミングを逃しやすくなります。
言い換えれば、250ccバイクで高速道路を走行することは、より排気量の大きなバイクと比べて、一層の努力と心配が必要になります。それにより、疲労感も早く溜まりやすく、ツーリングの楽しさが損なわれることもあれば、事故の要因になることも否めません。
こうした理由から、250ccバイクのパワー不足は明らかな課題として存在します。
振動による負担
200ccバイクでは、高速道路を平均速度である80~100km/hで走行し続けるためには高い回転数を維持する必要があります。高回転が続くと振動が激しくなり、それがライダーへの負担につながってしまいます。特に腕が直接影響を受けやすく、ハンドルからの振動により、長時間の高速走行は手の痺れを引き起こすことが一般的です。
高速運転時にはサービスエリアやパーキングエリア以外では停車する機会がほとんどなく、腕を十分に休ませることが困難です。痺れが発生すると、アクセル操作やハンドルの扱いにしっかりと対応できなくなり、安全性が低下します。快適さから考えても、不適切な状況だと言えるでしょう。200ccバイクでの高速走行における主要な問題点の1つであり、手の痺れには特に注意が必要です。
さらに、200ccのシングルシリンダーバイクでは、頭からつま先にかけて絶えず激しい振動が伝わってきます。並外れた耐久力がなければ、このようなバイクは避けた方が良いとされています。
③風の影響について
風の影響は、使用するバイクのタイプや速度によって異なりますが、一般的にはバイクが軽いほど横風による影響を受けやすいとされています。200ccクラスのバイクは軽量であることが利点ですが、高速走行時にはその軽さがデメリットに転じることもあります。対して重量級の大型バイクは横風の影響を受けにくいとはいえ、完全に影響を受けないわけではありません。経験上、風による横揺れが大きく異なると感じます。
そのため、軽量な200ccのバイクで高速を走る時は、風の影響にも十分注意して運転する必要があります。横風に逆らうためには、下半身でバイクをしっかりと安定させるニーグリップが有効です。同時にハンドルにも少し体重をかけると良いでしょう。そして、風が強い橋やトンネルを抜ける際は、普段よりも低めのギアで走り、リアブレーキを軽く掛けることで、よりコントロールしやすくなります。
200ccバイクが煽られやすい理由
煽られやすさも、200ccバイクの特徴の一つです。路上には、小型のツーリングバイクを煩わしい存在と考えるドライバーがいることは否めません。そういった人々は、バイクのサイズでしか物事を判断できず、セルフサイズがコンパクトな200ccクラスのバイクが視界に入ると、たとえ正当な走行車線を走っていても、意図的に車間を詰めて威嚇してくることがあります。
普通の道路であれば、こういった圧迫感を与えるドライバーに出くわしたときには、スムーズに道を譲ることも可能です。しかし、高速道路の場合、バイクが走行していること自体が珍しいため、「小型バイクは高速にふさわしくない」というような考えを持つ運転手からの煽りを受けるリスクが増加します。そして高速道路での車間距離の詰めは、極めて危険であり容易に道を譲ることはできません。
すると、圧迫された状況で運転を続けるか、やむを得ず高速道路を降りるしか選択肢がなくなります。どちらを選んでも望ましいとは言えない状況に追い込まれます。特に車格が小さい200ccクラスのバイクは、こうした他のドライバーからの圧力にさらされやすい傾向があり、穏やかに走ることが難しいのが現実です。
疲労感の蓄積
第五の理由は、疲れやすさにあります。これまで述べたように、200ccクラスのバイクで高速道路を走行することは様々な注意が必要です。その結果として、200ccでの高速走行はより排気量の大きなバイクと比較し、明らかにより疲れを感じやすい傾向にあります。疲労感が蓄積しやすいと集中力が散漫になりがちで、事故のリスクが高まるだけでなく、高速走行が苦痛と感じられることも考えられます。
私自身もかつて高速道路を走った際、「もし高速でなく一般道をゆっくりと走れば良かったかもしれない」と感じた経験があります。そのため、200ccバイクで高速に挑む際は、頻繁に休憩を取ることを推奨します。料金を払ったからといって無理に急いで目的地に到着しようとするよりも、安全を最優先にし、疲れを感じ始めたらすぐにサービスエリアやパーキングエリアで一息入れることが肝心です。
まとめ
以上、200ccのバイクでの高速道路走行が推奨されない理由をお伝えしました。決して200ccのバイクが高速利用を完全に避けなければならないわけではありませんが、快適かと尋ねられれば必ずしも肯定的には答えられないでしょう。今述べた点を頭に入れておくことで、高速道路を使う際の参考になり、少しでもリスクの軽減につながればと思います。