1000ccのバイク、リッターSSはその強力なパワーでサーキットで活躍するモデルが多いです。多くの人々が憧れる超絶技巧を誇るリッターSS。
今回は、リッターSSの中でも特に最速を誇るモデルやコストパフォーマンスに優れた最安モデル、足つきの良さにフォーカスしたバイク、そして市場に出回っている車種の魅力をじっくりと比較し、おすすめの情報をご紹介します。
1000cc級のモーターサイクルの魅力に取り憑かれている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
リッターSSの意味と背景
Hondaのリソース(https://www.honda.co.jp/)に依ると、リッターSSはフルカウル付きバイクの区分の一つで、「1000ccクラス=リッターSS」と通称されています。語源については定説がなく、複数の説が存在しますが、1リッターが1000ccを意味することから、このクラスのバイクはしばしばリッターSSと命名されるのです。
SSは「スーパースポーツバイク」の略で、これらのバイクはレーストラックでの高速走行を目指して開発された最先端のモデルを指します。フルカウルデザインであっても、ツーリングに適したツアラーモデルは、リッターSSとは呼ばれることはありません。
リッターSSカテゴリーでの最速モデルは?
CBR1000RR-R |
現在、最速との呼び声が高いのは、HONDAが製造するCBR1000RR-Rです。その理由としては、その圧倒的な出力、218PSが挙げられるでしょう。しかし、素晴らしいスペックを持つバイクであっても、最終的にはライダーの腕前が大きく影響するため、一概には言い切れませんが、一般的にCBR1000RR-Rが最速と位置付けられているのです。
200PSを超えるクラスのバイクになると、レースなどの競技レベルではマシンだけで差をつけるのは難しくなってきます。2023年5月に日本国内で開催された全日本ロードレースの第3戦を例に取ると、上位に位置するライダーの中にはCBR1000RRを選ぶ者も多いのですが、優勝及び準優勝したライダーが乗るのはYZF-R1であり、またGSX-R1000Rも上位に食い込んでいるライダーがいるため、バイクの種類によって分かれることがわかります。
リッターSSクラスならば、どのモデルにも最速となる可能性が潜んでいます。それぞれのバイクに秘められたポテンシャルを、ライダーがどのように引き出せるかが問われることでしょう。
リッターSS最も安いのは?
情報提供元:SUZUKI
2023年を迎え、新たな生産が終了したモデルの中で、最安値で手に入れられるリッターSSは、スズキのGSX-R1000Rになります。現在は新車での購入は不可能ですが、このバイクは元々の価格が低設定されていたため、中古市場でも200万円未満で取引されていることが多く、コストパフォーマンスを重視する方にとって理想的な選択肢と言えるでしょう。
具体的な機能やスペックについては後述しますが、価格面で考えるとGSX-R1000RはリッターSSを求めるバイカーにとって魅力的なモデルです。
リッターSS最も足付きが良いのは?
今回は、身長や股下といった体格差に関わる足付きの良さを重視して、人気のリッターSSモデルを比較してみたいと思います。
車両のサイズ感やシートの形状が影響するリッターSS。一般の道で扱いやすいバイクをお探しであれば、足付きの良し悪しは非常に重要な要素になります。特にシート高は参考のひとつとなるため、各モデルのシート高に注目して比較してみましょう。
モデル | CBR1000RR-R | YZF-R1 | ZX-10R | GSX-R1000R | S1000RR | パニガーレV4R | RSV4 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
シート高(mm) | 830 | 860(855) | 835 | 825 | 832 | 831 | 845 |
このリストからも分かるように、GSX-R1000Rはシート高が825mmと比較したバイクの中で最も低く、次にCBR1000RR-Rが830mmとなっており、足つき性に優れています。
正直なところ、リッターSSは足つきが不安になりがちですが、シートの厚みや形状によっても大きく変わるため、一概に決めつけることはできません。よって、最終的には実際に試乗してみることがベストでしょう。
例えば、シート高が830mmのバイクでも、身長165cmに股下67cmの方であれば、片足地面につくことができるため、十分対応可能です。
いざバイクにまたがった瞬間、リッターSS独特の魅力に抗うことができるでしょうか?
リッターSSおすすめ 国内モデル
CBR1000RR-R FIREBLADE/SP
排気量(cc) | 999 |
シート高(mm) | 830 |
車両重量(Kg) | 201 |
燃費(km/h) | 22.0 |
最高出力(PS) | 218 |
最大トルク(kgf・m) | 11.5 |
タンク容量 | 16 |
新車価格 | 2,420,000円 – 2,783,000円(SP) |
引用元: Honda
リッタークラスのスーパースポーツとして知られるCBR1000RR-Rは、スタンダードモデルとSPモデルとが展開されております。記念すべき30周年記念モデルは、記事執筆段階での新車受注は終了しており、市場では中古車でのみの取り扱いとなっています。
スペックはそのままにサーキット走行に特化したモデルで、空気抵抗を極限まで抑えた設計です。
水冷 | 4ストローク | DOHC | 4バルブ | 直列4気筒 | 999cc |
圧縮比 | 13.2→13.4 | ||||
ドリブンスプロケット | 40丁→43丁 |
引用元: Honda
アクラポビッチマフラー | フルカラー5インチ液晶 |
クイックシフター※ | Brembo製ブレーキ※ |
ÖHLINS製サス※ |
- 6軸IMU
- ライディングモード
- 切り替え可能ABS
- ステアリングダンパー
- スロットルバイワイヤシステム
- Honda セレクタブル トルク コントロール
- SMART Keyシステム
- エマージェンシーストップシグナル
- リチウムイオンバッテリー※
※SPモデル専用装備。
装備も非常に充実しており、通常モデルとSPモデルではブレンボ製ブレーキや電子制御式のオーリンズサスペンションの有無が大きな違いです。スタンダードモデルもハイスペックなので、予算を抑えたい方にはこちらも魅力的ですが、可能であればワンランク上のSPモデルを手に入れることをおすすめします。
YZF-R1M/YZF-R1の紹介
YAMAHA製の華麗なるスーパースポーツバイクであるYZF-R1には、一般モデルとは一線を画す高級モデルYZF-R1Mが存在します。YZF-R1Mは、高性能なオーリンズ社製の電子制御サスペンションが前後に採用されており、カラーリングも特別仕様となっています。
以下は両モデルのスペック比較表です。
R1M | R1 | R1 |
出典: YAMAHA (https://www.yamaha-motor.co.jp/)
排気量(cc) | 997 |
---|---|
シート高(mm) | 860(855) |
車両重量(Kg) | 202(201) |
燃費(km/h) | 21.6 |
最高出力(PS) | 200 |
最大トルク(kgf・m) | 11.5 |
タンク容量 | 17L |
新車価格 | 2,365,000円(R1) 3,190,000円(R1M) |
※()内はYZF-R1のスペックです。
YZF-R1にとって少々立ちはだかる問題となるかもしれないのがシート高ですが、豊富な電子制御機能もこのバイクの大きな魅力と言えるでしょう。
- 電子制御スロットル
- LCS、TCS、SCS、LIF、QSS、BC、EBMシステム
- 電子制御フロントサスペンション※
- 電子制御リアサスペンション※
- フルカラー4.2インチ液晶
- マグネシウム製鍛造ホイール
そしてYZF-R1Mは、カウル類にドライカーボンを使用するなど、さらに上質な仕上がりとなっています。
出典:YAMAHA (https://www.yamaha-motor.co.jp/)
なお、YZF-R1Mの価格は300万円を超える高級バイクです。
Ninja ZX-10R KRT EDITION
参照元:Kawasaki
カワサキのスーパースポーツバイク、Ninja ZX-10Rは、愛好者の心をつかむライムグリーンのカワサキ伝統のカラーリングを採用しています。2023年4月には新たなカラーに生まれ変わりました。
排気量(cc) | 998 |
---|---|
シート高(mm) | 835 |
車両重量(Kg) | 207 |
燃費(km/h) | 20.3 |
最高出力(PS) | 203/213.1※ |
最大トルク(kgf・m) | 11.7 |
タンク容量 | 17L |
新車価格 | 2,332,000円 |
※ラムエア加圧時
ラムエア加圧によって、車両は最大213PSのパワーを発揮します。コストパフォーマンスにも優れています。
- 電子スロットル
- KCMF(カワサキコーナリングマネジメントファンクション)
- トラクションコントロール
- パワーモード
- クイックシフター
- オーリンズ電子制御ステアリングダンパー
- クルーズコントロール
- ブレンボ製前後ブレーキ
- 4.3インチ液晶メーター
- スマートフォン接続機能
- インターナルカットキー
価格は手に取りやすくなっている一方で、ブレンボ製の前後ブレーキなど豊富な機能が標準装備されており、その価値は非常に高いと言えます。
GSX-R1000R
SUZUKIの代表的なスーパースポーツバイクとして名高いGSX-R1000Rは、もはや新品での生産は終了しましたが、未だにレースシーンで活躍する人気車種です。その人気の秘密は、長年にわたるGSX-Rシリーズの性能研鑽の集大成であるという点にあります。中古市場ではまだ手に入れることが可能です。
以下にそのスペックを示す表を掲載しています。
排気量(cc) | 999 |
シート高(mm) | 825 |
車両重量(Kg) | 203 |
燃費(km/h) | 22.1 |
最高出力(PS) | 197 |
最大トルク(kgf・m) | 11.9 |
タンク容量 | 16L |
中古車(平均) | 191万円 |
発売当初の価格は2,156,000円と非常にコストパフォーマンスに優れているモデルでした。
標準装備については以下の通りです。
- SHOWA製前後サスペンション
- 電子制御ステアリングダンパー
- ブレンボ前後ブレーキ
- 3軸6方向IMU連動モーショントラックブレーキシステム
- トラクションコントロール
- ドライブモードセレクター
- ローRPMアシスト
- スズキイージースタートシステム
- ローンチコントロール
- 双方向クイックシフトシステム
競合他社と比較しても、価格と機能のバランスが際立っているため、新車はすでに購入できませんが、状態の良い高年式のバイクをお手頃な価格で手に入れることができるので、中古車をお探しの方にも自信を持って推薦できる一台です。
リッターSSおすすめ 海外モデル
S1000RRの魅力に迫る
バイクブロスが紹介する、BMWのフラッグシップモデル、2023年版S1000RRについてご紹介いたします。このバイクはスーパースポーツカテゴリーで際立った性能を持ち、多機能な電子装備を完備した210PSの強力なエンジンを有し、時速300キロメートルを軽々と超えるスピードパフォーマンスを誇ります。
S1000Rとしても知られるこのモデルは、5つの異なるオプションパッケージを選ぶことで、各ライダーの好みに合わせた設定にカスタマイズ可能です。さらに、M1000RRもラインアップに存在しますが、その価格は約400万円と高価であり、一般のバイク愛好家にとってはS1000Rがより手に取りやすいオプションであると言えるでしょう。
次に、このモデルの主なスペックを表形式で見てみましょう。
排気量(cc) | 999 |
シート高(mm) | 832 |
車両重量(Kg) | 202 |
燃費(km/h) | – |
最高出力(PS) | 210 |
最大トルク(kgf・m) | 11.5 |
タンク容量 | 16.5 |
新車価格 | 2,413,000円 |
標準の装備内容には、選択したパッケージによって次のような差異があります。
- 前後電子制御サスペンション
- ダイナミック・ダンピング・コントロール
- ライディングモード プロ
- グリップヒーター
- クルーズコントロール
- リチウムバッテリー
カラーバリエーションとして2023年モデルは3色から自由に選ぶことが可能です。映画で登場することも多く、国外でスーパースポーツバイクと言えばS1000RRと記されるほど、そのブランド力は非常に高いです。
Panigale V4 R
強力なパワーを持つドゥカティのスーパースポーツモーターサイクル、パニガーレV4R。公道での走行においては218馬力を発揮し、レース用トラックでは最大237馬力まで引き上げ可能です。本モデルは2019年以降市場に投入されています。
排気量(cc) | シート高(mm) | 車両重量(Kg) | 燃費(km/h) | 最高出力(PS) | 最大トルク(kgf・m) | タンク容量 | 新車価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
998 | 831 | 193 | – | 218 | 11.4 | 16 | 4,550,000円 |
本モデルの価格は4百万円を超え、諸費用を含めますと約5百万円の価格になります。為替の変動により価格は変わることがあるため、最新の価格情報についてはディーラーへの確認が必要です。
- アクラポビッチ製マフラー
- マグネシウム製ホイール
- 先進の電子制御システム
- オーリンズ製サスペンション
バイクの性能が非常にハイスペックであり、全ての機能を把握するには時間がかかります。電子制御システムだけでなく、エンジンにも軽量化のための改良が加えられています。また、このバイクはスーパースポーツカテゴリで唯一200キロを切る軽さを実現しているモデルです。
RSV4の魅力とラインナップ
アプリリアが誇るスーパースポーツ機種のRSV4は、圧倒的な217馬力を誇り、アプリリア独自のフレーム設計が光るモデルです。競技用としても利用されるレーシングモデルも存在し、特に豪華な装備を備えたRSV4ファクトリーが商品範囲に含まれています。
排気量(cc) | 1099 |
シート高(mm) | 845 |
車両重量(Kg) | 202 |
燃費(km/h) | – |
最高出力(PS) | 217 |
最大トルク(kgf・m) | 12.7 |
タンク容量 | 17.9 |
新車価格 | 3,398,000円 |
※ファクトリースペックについて
エンジン性能はRSV4と同様ですが、ファクトリーモデルには更なる特別装備が施されます。高品質なアルミニウム製ホイール、オーリンズ製サスペンション、そしてブレンボ製ブレーキが標準装備されており、その上でさまざまな先進的な電子制御装置を搭載している点も見逃せません。
リッターSS比較の注目ポイント
モデル | CBR1000RR-R | YZF-R1 | ZX-10R | GSX-R1000R | S1000RR | パニガーレV4R | RSV4 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
イメージ | |||||||
排気量(cc) | 999 | 997 | 998 | 999 | 999 | 998 | 1099 |
シート高(mm) | 830 | 860(855) | 835 | 825 | 832 | 831 | 845 |
車両重量(Kg) | 201 | 202(201) | 207 | 203 | 202 | 193 | 202 |
燃費(km/h) | 22.0 | 21.6 | 20.3 | 22.1 | |||
最高出力(PS) | 218 | 200 | 203 213.1※ |
197 | 210 | 218 | 217 |
最大トルク(kgf・m) | 11.5 | 11.5 | 11.7 | 11.9 | 11.5 | 11.4 | 12.7 |
タンク容量 | 16 | 17 | 17 | 16 | 16.5 | 16 | 17.9 |
新車価格 | 2,420,000円 | 2,783,000円(SP) 3,190,000円(R1M) |
2,332,000円 | 191万円(中古) | 2.413.000万円 | 4,550,000円 | 3.398.000円 |
各モデルともに高性能で、優劣をつけるのが難しいですね。電子装備についても大きな差は見られず、各装備やサスペンションのオーリンズ採用の有無、ブレーキシステムの違い等が300万円を超える価格帯のモデルの特徴かもしれません。一方で、国産車にはコストパフォーマンスに優れた選択肢が多く見られます。
現在、円安の傾向にありますが、通常の円高時であれば、国産モデルを考慮している方にもS1000RRがコストパフォーマンスの高い選択肢となるでしょう。
どのモデルも車体が軽いため、片足で地面に足がつくのであれば、乗りこなすのに問題はないでしょう。しかし、実際の一般道での使用を考慮すると、R1やRSV4の足つきの悪さは考慮が必要です。
予算に余裕がある方であれば、豪華な装備を持つ海外製モデルや、国産ではCBRSPやR1Mが選択肢に挙げられます。
一般ユーザーとして私が着目しているのは、GSX-R1000Rのような国産のスタンダードモデルや、価格が200万円以下の中古モデルです。これらは特に狙い目だと感じています。
リッターSS、後々の後悔とは
公道でリッターSSを持て余すと言う声もありますが、本当に路上で全能力を引き出すことは難しいでしょう。
たしかに不便さはありますし、前傾姿勢がつらいことも、排気の熱さや燃費の悪さも否めません。それでも、バイクを語る上で欠かせない「ロマン」が、リッターSSへの想いを高め、購入を後押しするのです。
もしバイクがただの移動手段だけだったら、何の魅力も感じないでしょう。
夢見ていた理想のバイクを手に入れたいという欲求は、様々なデメリットを超越してしまいます。
安易に妥協して600ccクラスにした後、「実はリッターSSが良かった」と後悔することの方が、心残りに感じるでしょう。
想像していた憧れのマシンでサーキットに繰り出せば、アドレナリンが溢れ出る体験ができるはずです。
ですが、常に安全運転を心がけて、事故のないよう警戒してください。
リッターSSの魅力に迫る
国内外から発売されるリッターバイクには、独特の魅力がぎっしりと詰まっています。パワフルなエンジンを持つリッターSSは、多くのバイク愛好家を虜にし、一度乗るとその魅力から離れられなくなることもしばしば。是非ともこの魅力満載のリッターSSを体験し、バイクの楽しみをより一層深めてみてください。
気になる一台を見つけたら、実際にそのバイクを見に行くことや、試乗をすることから始めてみるのがおすすめです。本記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。